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【NET技術.009】WAN及び通信サービス①

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 佐藤@IT雑貨屋です。

 WANは通信事業者が提供する通信サービスを利用して行います。この通信サービスには様々な種類の回線がありますが、それについてここではまとめてみます。

◆通信サービスで利用する回線
 電気通信事業者、一般的には「プロバイダ」と呼んだりもしますが、ここで提供されるサービスは、大きく分けて回線を単独利用する専用線と、回線を複数で共有する交換回線の2種類があります。また交換回線で回線の切り替えを行い、1対1で通信を実現する回線交換と、パケットを通信経路に流すことで複数因で回線を共有する蓄積交換があります。
 蓄積交換の場合、電気通信事業者が用意した回線が全国規模で敷設されています。しかしその回線は特定の場所に設置されているアクセスポイントまで行かないと利用する事は出来ません。そのために会社のLANをそこに接続するには、アクセスポイントまで別の回線を利用する必要があります。その際に利用する回線をアクセス回線と言います。
 良くあるケースとしては、ここで言う蓄積交換の回線とは、インターネットプロバイダの回線であり、そのアクセスポイントまでは、NTT東西が提供するフレッツ光回線を利用するといもので、この場合のフレッツ光回線をアクセス回線と呼ぶわけです。

◆通信サービスの種類
 通信サービスの種類には以下のものがあります。

 ・専用回線
  高速デジタル専用線/ATM専用線
 ・交換回線
  回線交換:公衆電話回線(アナログ・ISDN)/移動体通信サービス
  蓄積交換:フレームリレー/ATM/IP-VPN/広域イーサネット/インターネット
 ・アクセス回線
  専用線/ADSL/FTTH

 各サービスのもう少し詳細について、以下にまとめます。

 ①専用回線(専用線)
  接続形態が必ず1対1の専用のネットワークです。高いセキュリティや接続の安定性
  を確保したい時に利用します。デジタル回線での接続線の他、ATMを利用した専用線
  サービスも存在します。
 ②公衆電話回線
  回線交換のネットワークで、通常の固定のアナログ電話の他に、デジタル電話サー
  ビスであるISDN(Integrated Service Digital Network)があります。携帯電話
  も移動体通信サービスに含まれます。
 ➂フレームリレー
  パケット交換サービス(X.25)を簡潔に高速化したネットワークで、以前は64kbps
  ~1.5Mbps程度の通信速度サービスが提供されていました。現在では広域イーサ
  ネットやIP-VPNへ移行が進んでいます。
 ④ATM(Asynchronous Transfer Mode)
  パケットを53バイトの固定長セルに分割し、通信する仕組みです。複数の通信機器を
  束ねて一つの回線で接続するTDM(Time Device Multiplexer)という機器を利用
  して、通信回線の利用効率を向上させています。バックボーンネットワークに使われ
  ており、物理層にはTDM方式のSONET/SDH(Synchronous Optical Network/
  Synchronous Digital Hierarchy)を利用する事が多いです。
 ⑤IP-VPN
  通信事業者が提供する専用のIPネットワークでVPN(Virtual Private Network)を
  構築します。パケットの前にラベルを付けて通信を識別するMPLS(Multi-Protocol
  Label Switching)という技術を使います。
 ⑥広域イーサネット
  通信事業者が提供する専用のイーサネット接続サービスです。VLANを使い、他の
  顧客との通信を分離して行います。
 ⑦FTTH(Fiber To The Home)
  高速の光ファイバを建物内に直接引き込みます。回線の終端にはONU(Optical
  Network Unit)を用いて、光と電気信号の変換を行います。
 ⑧ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)
  既存のアナログ回線を拡張利用し、高速なデータ通信を行います。スプリッタで音声
  とデータを混合、分離を行います。

 私が若い頃には、大企業などはイントラネットで拠点間を専用線で構築していたのですが、極めて高価なサービスでした。しかしその後、インターネットの普及と共にIP-VPNが普及しはじめ、今では殆どの企業が社内ネットワークをIP-VPNで構築しているのでは無いかと思われます。

◆無線通信技術
 無線通信技術は当初LANで利用されてきましたが、近年ではWANで無線通信技術が取り入れられています。無線通信技術を活用した代表的なサービスについて、以下に紹介します。

 ①携帯電話
  携帯電話は端末の電源をONにすると、自動的に電波を受信して最寄りの基地局と通信
  を行います。電波は基地局から通信事業者の局舎に送られ、そこで音声ネットワーク
  とデータネットワークに分けて通信を行います。
 ②WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)
  広帯域の無線技術の規格の一つで、FTTHやADSLと同じく、インターネットへの
  アクセス回線として利用されます。モバイルWiMAXの伝送速度は75Mbpsとされて
  おりIEEE 802.16eで標準化されています。
 ➂公衆無線LAN
  Wi-Fi(IEEE 802.11bなど)の無線LAN技術を利用した通信サービスです。ホット
  スポットと呼ばれアクセスポイントを様々な場所に設置し、インターネット接続を
  行います。

◆通信のバースト性
 ネットワークのトラフィックは、一定速度で続いている訳では無く、ある特定のタイミングで大量のパケットが発生して混雑する場合があります、これを通信のバースト性と言います。Webやメールなどのアプリケーションは、バースト性を持っていますので、その特性を考慮して通信サービスを選択する必要があります。

 以前にあるお客様で、社内で利用しているIP電話で頻繁に音途切れが起きると申告を受け、その調査をした事がありました。調べてみるとRTPパケットの到着間隔にかなりの乱れが発生していて、アクセス回線網の業者に調査を依頼したところ、アクセス回線で時間によって輻輳が起きていた事が判明。その原因は、丁度リモートワークが社会の中で始まった時期でもあったので、その影響ではないかとの事でした。
 要はリモートワークで、その地域では多くの人がインターネットを同時利用をし始めた結果、アクセス回線が溢れかえってしまったんですね。

 通信のバースト性を示す、一つの事例として、こういった事も過去にありました。

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