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IT業界につとめる「雑貨屋(なんでも屋)」が、業界の事、情報セキュリティの事、趣味や日々雑感を綴っていきます。お暇な方はおつきあい下さい。

データベースよもやま話

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 佐藤@IT雑貨屋です。

 いまデータベース関連の事を説明する記事を書いていますが、このデータベースに関連した私の経験事を少し書いてみたいと思います。

 今から二十年以上前になりますが、私はアプリケーション開発のプロジェクトリーダをしていました。当時開発していたのは、リライトカードと言って、磁気を使い読み書きできるカードを用いた顧客管理システムでした。この顧客管理システムでは、お客様に対してポイントを付与し、それを管理する事で来店に関する動向などを分析する機能を持たせていました。

 当時はデータベースと言っても、SQL Serverなどが普及始めた時期でもあり、私が開発したアプリケーションではSQL Serverとは違ったBtrieveというデータベースライブラリを採用して、データ管理部の仕組みを作っていました。

 このアプリケーションですが、とある地方都市の中堅小売店舗(いわゆるデパート)に納品していたのですが、ちょくちょく不具合が発生しているという状態で、当時関係していた販売会社の営業からは、度々問い合わせなどを受けてました。

 ある日の朝。

 私が出勤すると一本の電話が販売会社の営業から入りました。聞く処によるとデータが参照できないし、カードの更新などが一切動かなくなり、クレームがはいっているとの事。「佐藤さん、直ぐに〇〇(関西圏)に来てもらえますか?」と、かなり切迫した状況です。私は直ぐに新横浜に向かい、新幹線のチケットを購入して現地に向かいました。

 現地に着き、事前に販売会社の営業担当と打ち合わせをしましたが、どうやらお客様はかなり御立腹との事で、「何を言われても、堪えて下さいね」と言われ営業に同行し、お客様のシステム部のあるビルに赴き、システム部副部長のいる部屋に入った瞬間、言われたのが。

「おどれか!!システム作ったという奴は!どないしれくれるんじゃ!!」

 この大声の罵声を浴びて、私は度肝を抜かれてしまいました。その後、中小小売店舗の担当者から状況を聞いて後、システムが設置されている売場へと向かいました。

 この時のシステム構成は、Windows-NT4.0サーバ機がサービスカウンタの脇にあり、そこからLANを経由して複数の入力端末に繋がっています。端末はWindows-98やWindows-95などあり、ネットワーク構成も、大丈夫かと思う様な多段構成のHUBで構築されていました。
 早速、手持ちのノートPCをサーバ機につなぎ、データベースを確認してみると、どうやら昨日の夕方にデータがクラッシュしてしまっているようで、ファイル更新がなされていない状況が確認できました。データのレコード数は、顧客データが1万件、売り上げトランザクションデータが100万件登録されていました。しかし手持ちのノートPCにあるDB管理プログラムでも、データベースにはアクセスする事が出来ません。

 データ復旧するにも、作業は店の営業終了時間以降という指示もお客様から出ていましたので、それまでトラブルの詳細解析や復旧案を検討すべく、サービスカウンタの奥で、出来る作業を始めました。

 そこで何気なくサービスカウンタの状況を確認したのですが、サービスカウンタには女性店員が一人、常に常駐していますが、その女性社員、かなり暇を持て余しているのか、Windows-NTにログインして、ソリティアに興じていました。また閉店時間が過ぎた時に、通常であればシャットダウン処理を行う必要があるところ、いきなり電源スイッチをOFFにするという状況。正直私は絶句してしまいました。
 このお客様へシステムを売り込んだのは、当時の自社の営業なのですが、どうやら注意事項もなにも説明する事無く、またネットワーク設備なども確認せずに、そのまま納品していた様で、これではトラブルも発生してしまうだろうと合点が行きました。

 営業時間終了後、私はそれまでに現地でデータベース復旧プログラムを独自に開発し、それによりBtriveのデータベース復旧を行いました。ただしレコード数が多いので、このプログラム処理でも数時間は掛かってしまいます。終了するのは恐らく23時過ぎになるでしょう。

 結局、データベースを復旧し、現地を撤収したのは夜中の1時過ぎでした。取引先の営業担当者が気を利かせてくれ、ホテルの部屋を確保してくれていたので、その部屋に戻り泥の様な眠りにつきました。

 翌日の午前中は、システムの状況を確認。正常に動作している事を確認し、販売会社の担当者を通じて、サービスカウンタの店員には、ゲーム利用の禁止と、業務終了時のサーバの電源の落とし方をレクチャーして、現地の作業を終わりました。

 前日に怒鳴られたお客様の副部長へ、復旧完了の報告に向かうと「お前!当然一週間はみまもってくれるんやろうな?」と言われてしまい、結果、そこから五日間はお客様先に拘束されてしまいました。日帰りで戻るつもりだったので、当然、着替えなどは準備もしないなかったので、ホテルに延長の話をしてから、近所のコンビニで下着やワイシャツ、また靴下を購入して、その後の1週間は生き延ました。
 この1週間、顧客管理システムは順調に動作していましたが、それを見守る傍らで、何故かこの中小小売店舗の販売企画の担当者と共に、データ分析に付き合わされていましたけどね。

 これは今でもトラウマ級の出来事の一つになっています。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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