【NET技術.008】LAN/WANについて②
佐藤@IT雑貨屋です。
最近ではLANと言えば有線LANよりも無線LANが主流になって来ています。私の職場でもそうですが、自宅でも無線LANを利用してノートPCやスマホをネットワークにつないで利用するケースが多いのではないでしょうか。ここでは無線LANについて少しまとめます。
◆無線LANの特長
無線LANではネットワークに接続する際、ケーブルが不要になるために機器を自由に配置する事が出来るので、コスト削減する事が出来ます。しかし便利で低コストの反面、セキュリティ確保が極めて重要となってきます。
◆CSMA/CA方式
無線LANの歴史を振り替えると、ALOHAネットという1970年代にハワイ大学が開発した先駆的なネットワークがあります。これはハワイの島々に点在するキャンパスを結ぶため、アマチュア無線の様に電波を共有して通信を行う仕組みです。
この通信方式はCSMA/CD方式と同様で、早い者勝ちで通信を行います。しかし無線の場合、二つの送信局が同時に通信しようとするとデータが破壊されてしまう事がわかりました。そのためALOHAネットでは、混信したときには手動で再送をしていたのです。
この問題を改善するために衝突を避ける仕組みとして考案されたのが、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Acccess with Collision Avoidance)方式でした。搬送波感知(Carrier Sense)の段階で通信を検知した際、その通信の終了後すぐに送信を試みると衝突が発生しやすくなりますので、それを避けるために、通信終了後ランダムな長さの待ち時間を取り、その後にデータの送信を開始します。この時の待ち時間をバックオフ制御時間と言います。
◆IEEE 802.11
無線LANの規格をまとめているのは、主にIEEE 802.11分科会です。IEEE 802.11では基本的にCSMA/CA方式が使われていますが、通信速度などの違いによって多くの規格が取り決められています。代表的な規格を以下に示します。
この無線LANの規格で使用されている代表的な技術について、以下にまとめます。
・MIMOとMU-MIMO
MIMO(Multiple Input Multiple Output)はIEEE 802.11nで利用されています。
送信側と受信側で複数のアンテナを用意して送受信を行うことで、高速化を実現
する方式です。
MU-MIMO(Multi-User MIMO)は、IEEE 802.11acなどで利用されている方式
です。特定の端末に向けて電波を送るビームフォーミング技術を利用し、MIMOを
発展させた機能となります。電波干渉を避けるために位相をずらして送信する事で
複数の端末で同時送受信が可能となります。IEEE 802.11axでは、MU-MIMOが
4ストリームから8ストリームに拡張されています。
・OFDMとOFDMA
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)はIEEE 802.11nで
利用されているデジタル変調方式の一つです。隣り合う周波数の搬送波同士の
位相を互いに直行させることで、周波数分割を行います。OFDMA(Orthogonal
Frequency Division Multiple Access)はIEEE 802.11acなどで利用されている
方式です。OFDMの搬送波を分割し、複数のユーザーの通信を可能にします。
ちなみに無線LANのセキュリティの規格にIEEE 802.11iがあります。
◆隠れ端末問題
無線LANでCarrier Sense(搬送波検知)を行う時には、有線とは異なり「アクセスポイントまでの距離は規定の範囲内だが電波が届かない」という状態が起こります。これはアクセスポイントを挟んで、互いの端末は電波が届かないという状態の事で、これを隠れ端末問題と言います。これにより互いの端末の認識が出来ない事から、通信の衝突が発生してしまいます。
この隠れ端末問題を解決するための仕組みに、RTS/CTS方式があります。RTS/CTS方式では、データ通信を行う際に端末がRTS(Request To Send)という制御フレームを送信します。それを受信したアクセスポイントは、全端末にCTS(Clear To Send)を送信します。RTSとCTSには送信抑止時間が含まれており、これらの制御フレームを受信した他の端末は、指定された時間、送信を抑止します。
◆IEEE 802.15
IEEE 802.15分科会は、近距離無線通信の仕様をまとめるためにIEEE 802.11分科会から独立して設置されました。このIEEE 802.15で標準化された代表的なプロトコルにBluetoothとZigBeeがあります。
Bluetoothは、IEEE 802.15.1として規格化された、IEEE 802.11b/gなどと同じ2.4GHz帯の電波を使用して通信をする規格で、スマートフォンやキーボード、ヘッドフォンなどの小型機器で利用されています。1つのマスタと最大7つのスレーブで、スター型のネットワークを構成します。
ZigBeeは、IEEE 802.15.4として規格化され、複数のセンサを強調させるセンサネットワークを目的とする通信規格です。消費電力が少なく安価で、最大65,536個の端末間をつなぐ事ができます。
ここまで無線LANの概要を書いてきましたが、私は過去にアマチュア無線をやっていた事があるので、ある程度、単語などはイメージしやすい部分があるのですが、一般的には馴染の無い言葉が出てきます。詳細を理解するには、それなりに無線知識が必要となりますので、「ああ、そうか」程度の理解が出来れば良いかと思います。