J1湘南、曺監督のパワハラを否定するRIZAP元出向トレーナーのコメントが痛々しすぎる件
J1湘南の曺監督のパワハラ疑惑報道がスポーツ報知と日刊スポーツの2紙から出ています。
【湘南】曹貴裁監督にパワハラ疑惑、Jリーグが今月中にも調査へ (スポーツ報知)
同監督は、複数人の前でチーム関係者の能力を疑問視したように「どれだけ無能なんだ」「お前はウソつきだ」などと人格を否定するような発言を行った。また机をたたいたり、扇風機を蹴りながら選手に罵声を浴びせる行為が日常的にあった、とされる。
精神的な苦痛や過度のプレッシャーから練習場に行けず、うつ病などを発症した関係者もいたという。クラブ親会社の「ライザップ」関係者によると、同社から今年1月に出向したスタッフは精神的に追い込まれ、6月からチームを離れたという。
複数選手心折れ練習困難、湘南曹監督パワハラ謹慎へ (日刊スポーツ)
事実関係をJリーグが調査に入るということで実態の解明が待たれるところですが、報道を受けて出したライザップグループのプレスリリースでの関係者のコメントが非常に痛々しく、私には思えました。
当該スタッフ本人に確認したところ、「曺監督からは愛情あるコミュニケーションを受け、私自身も成長できたと感じており、パワーハラスメントの事実はありません。曺監督には大変感謝しており、今後は、この経験を活かしていきたいと考えています。」と述べています。
この出向から戻ったトレーナーは現在、RIZAPグループの社員であり、J1湘南でパワーハラスメントの事実があったとしたら、親会社たるRIZAPグループに迷惑がかかるという利害関係にあります。当時どういう状況だったか自由に言えない立場でしょう。そんな自由でない状況でのコメントをニュースリリースとして発表することが妥当かどうかライザップグループはよく考えたのか?ともかくパワハラはなかったと早く火消ししたいという意図が働いたのではないか?そもそも、Jリーグの監督の下で何が起きているのか本当に把握して自信をもっているのか疑問です。
(曹監督:オフィシャルサイトより )
スタッフのコメントから危険なキーワードを読み取る
スタッフのコメントでは以下の「愛情」「成長」「感謝」という3つのキーワードが気になりました。
「愛情」については、しつけか虐待かが問われる今、愛情があっての愛のムチであっても暴力は虐待であるとして保護の対象になっています。「成長」と「感謝」はブラック企業が好む言葉です。そのスタッフが実際にどう話したかが気になるのですが、「成長」と「感謝」と本人が言ったのなら、J1湘南かRAIZAPのどちか、もしくは両方にパワハラ体質があるのではという疑念を感じてしまいます。
スタッフのコメントを根拠に、「スタッフが精神的に追い込まれチームを離れた」ことを否定することは難しい
RIZAPグループは、報道に対してパワハラは無かったとまでは断定していません。言っていることは、パワハラが無かったことを信じているということだけです。一方で、報道にあった「スタッフが精神的に追い込まれチームを離れた」ことについて帰任の理由については自社の研究開発方針に基づく体制強化のためであると否定しています。
- 帰任の理由
支援体制は都度見直しを行っており、当社の研究開発方針に基づき、RIZAP Lab(ライザップ ラボ)の体制強化のためRIZAP株式会社に帰任 - スタッフが精神的に追い込まれていたか?
コメントなし。 - スタッフが語ったこと
「愛情あるコミュニケーション」「成長」「パワーハラスメントの事実はありません」「今後はこの経験を活かしていきたい」
いずれにしろ、Jリーグによる事実解明が待たれるわけですが、複数の人の前での罵倒があったというスポーツ紙の報道はそういう証言が複数とれていることがうかがえます。RIZAPグループとしては多くの選手やチームの首脳にも信頼の厚い曹監督にパワハラが無かったことを信じたいという希望は希望として置き、Jリーグなどの第三者機関の事実調査に協力して真相を明らかにするそういう姿勢で臨むことが求められることでしょう。