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Facebook CTO曰く「内緒だけど、Apple Pingとうまく協業できそう」

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鳴り物入りで登場したApple音楽SNS「Ping」だが、水面下でFacebookとの交渉は続いていた。

そもそも事の発端は、Ping発表時点では実装されていたFacebook連携機能が、1日もたたないうちに取り去られてしまい、多くの利用者を落胆させたことにある。

アップルとフェースブックに一体何が--「Ping」からFacebook消える - CNET Japan

この件で、Business Insiderがスクープ記事(URL)を発表した。これによると、昨晩ニューヨークでのディナーで、Facebook CTOであるBret Taylor氏は「超極秘(Very Confident)だけど、FacebookとAppleはPingで協業できる方法が見つかりそうだ」と発言したとのこと。

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【出所: Business Insider】

参考まで、FacebookはAPIを公開しているが、1日あたり1億回を超えるサイトについては「追加条件の対象となる可能性があるので要相談」としている。Apple iTunesは1.6億人のユーザーがおり、この条件に抵触したと考えられている。

そもそも、Facebookのソーシャルグラフを活用するにあたっては、実際にはいくつかの制約事項があり、他サイトによるFacebookソーシャルグラフの保存禁止など、おいしい部分の持ち逃げができないようになっている。さらに1億回を超える大規模利用の場合は、この部分を詳細事項にわたり合意する必要があると思われ、それがAppleとの合意の壁になっていたのだろう。(以下、当ブログ記事「ソーシャルグラフってなんだろう」より一部抜粋)

ポイントはFacebookのオープングラフを外部サイトで利用するためには,Facebookアプリとして登録する必要があるということ。これによりそのサイトはFacebookのアプリ利用規約に従う義務が出てくるわけだ。これはニュースサイトやコマースサイトとて例外ではない。また取得したソーシャルグラフを保存することは規約によって禁じられている。

【ループス岡村直人による関連考察記事】
Facebookが提供するソーシャルグラフが、未来のECサイトをどう変えるのか
Facebookアプリの個人情報利用規約

ZyngaとFacebookの争いとその後の和解は,近い将来,Facebookがソーシャルアプリ・デベロッパーに対して,課金システムとしてFacebook Credits(30%と課金比率が高額)を強制する可能性が高いことを示している。

そしてこれはFacebookソーシャルグラフを外部から利用する(Facebookアプリ登録をする)すべてのサイトにとって他人事ではない。仮にFacebookソーシャルグラフが世界標準になった場合,Facebookソーシャルグラフを利用するウェブサイトでの売買行為に利用料を課す(例えば料率を変動させたFacebook Creditsの進化形など)可能性があるということだ。

そして、このスクープが事実であれぱ、大きなニュースだ。これらの制約を乗り越えるということは、Appleがソーシャルネットワーク領域で独自構築を目指さず、Facebookと連携していく方針を固めた可能性があるからだ。

Appleもうひとつの独自ソーシャル系サービス、Game Centerのゆくえも気になるところだが、一方の雄であるGoogleは今年度中にも噂のソーシャルサービス「Google Me」を発表する意向とされており、こちらも引き続きウォッチしてゆきたい。


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【何だろうシリーズ】
「ソーシャルゲーム」はどうして儲かるんだろう? (7/20) 
「ソーシャルコマース」ってなんだろう? (7/12) 
「ソーシャルグラフ」ってなんだろう? (6/21) 



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