ソーシャルメディアで政治が動くか? 〜No VoiceからOne Voiceへ〜
昨日17時頃、インターネット選挙運動を今国会で解禁を目指すキャンペーンサイト「One Voice campaign」がオープンしました。サイトには現在、田原総一朗氏、フローレンスの駒崎弘樹氏、社会学者の西田亮介氏、千葉市長の熊谷俊人氏、哲学者の萱野稔人氏の動画とインタビューが紹介されています。そしてリリースして一夜で何と1300以上のいいね!が集まり、待ち望まれていた活動だったと改めて認識しました。
■ネット選挙運動の解禁は既に実現の手前にきて止まっている
キャンペーンサイトにも紹介されてますが、ネット選挙運動解禁の動きは98年から民主党が公選法改正案を国会に提出されており、2005年の「郵政選挙」では自民党が「ネット選挙解禁」を発表もされています。さらに、2009年の民主党マニフェストでネット選挙運動解禁が盛り込まれています。つまりネット選挙運動の解禁については、自民も民主も実現したいと動いており、そして実現の約束までされている状況なのです。
しかしながら、2010年の参院選直前に審議会に提出された公選法の改正案に関して与野党合意までこぎ着けたものの、鳩山首相の突然の辞任などによる政局の混乱の中、法案は成立されず、昨年は震災によって動けていませんでした。そして今年もまた国会での優先順位が上がっておらず、このままだとまた見送りになる予定です。
与野党が合意されており、公約にも掲げられている中、政治不信や投票にもまともに行かない僕ら若者世代はこのままでいいのでしょうか?僕らが政治に対して傍観していることがこの状況を招いているのではないでしょうか?
政治に対してアクションすることは有権者が数年に一度民意を託して投票をすることだけと思っていませんか?実は僕もそう思ってました。ところが官僚やNPOの友人、政治家の話を聞いていると、政治家とつながりのある組織や団体からの陳情だけでなく、一個人としてパブリックコメントとして意見を提出することや、自分の住む地域の選出議員の事務所に提案することも、いつでもできる政治参加で、実際に影響力もあるそうです。
■ソーシャルメディアで政治に参加する
一方で、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアは企業だけでなく日常に浸透し、東日本大震災においては何よりも有効なライフライン、情報源としてすでにインフラ活用されてきたのは周知の通りです。そして海外では「アラブの春」に代表されるように、現状を変えるうえで、ソーシャルメディアが大きな役割も果たしています。以前紹介した台湾の総選挙ではFacebookは戦略的に活用され、Youtubeでも重要な発信がされており、韓国やアメリカなど先進国では当然のように選挙期間中にネットは活用されています。
・台湾の総統選に参加して、日本のネット選挙と直接選挙を考える
何も僕らはこのキャンペーンで現体制を破壊して、新たな何か創り出そうとしているわけではありません。現に政治家だけでなく、総務省も先月次期国政選挙から、候補者の経歴や政見を載せた選挙公報を、全国一斉に都道府県選挙管理委員会のホームページで公開することを決める発表をし、ネット選挙運動解禁についての動きもあります。
インタビューでフローレンスの駒崎氏はこのように話されてました。
これまでの時代は、税収が右肩上がりで行政にある程度任せることができたが、いまの経済状況において、行政がすべてをおこなうことはほぼ不可能になってきました。多様なあり方すべてに対応することが難しいという行政の現場の限界をうまく脱却するためには、民間企業やNPOなどの団体と行政がこれからは一体となってやっていかないといけません。そのためには、民間や市民も含め、自分たちでやっていくという当事者意識をもつと同時に、行政側も変わっていかないといけない時代になってきました。
駒崎氏をはじめ社会起業家として活躍する方々は、行政と民間企業や NPO は協働していくものとして社会問題を捉えて行動されています。社会起業家だけでなく、一市民として当事者意識を持って行動できることは色々とあると思います。
また駒崎さんはこうも指摘します。
いまの政治の予算の公的支出の子ども関連と高齢者関連での比率を見ると、こどもが1で高齢者が11というものすごい差が開いており、OECDの中でも一番の差がある国なんです。これはつまり若い人達が選挙で投票をしないという現状もあり、資源の配分に対する意見が通ってない証拠でもあります
都内に保育園が足りないというのなら、また子育てする女性が働き難い社会だと思うなら、政治を変える動きをしていかないと、この予算配分はなかなか変わるものではありません。
僕ら一人ひとりの声をソーシャルメディアを活用して発信すること。その声を集約して政治家・官僚に届けること。その結果法律が変わる。その体験をみんなですることが、このOne Voiceというキャンペーンの大きな価値だと思っています。
僕自身このキャンペーンの発起人の一人として携わらせて頂いています。そのプロセスをOne Voiceの事務局でもできる限り公開し、賛同・共感頂ける方々と作り上げて行きたいと思っています。One Voiceの立ち上げはこの春に動き出したばかりですが、無償のボランティアで今やらねばと動きだし、企画、デザイン、サイト構築、取材、撮影、政治家へのロビー活動、そして5月23日は国会議員を呼んでのイベント準備もしています。
関係者はこれまで目的は同じにしても、別々に活動していました。それが今回、議員インターンシップを広げてきたドットジェイピーの佐藤大吾氏、選挙ポータルをサイトを運営されているザ選挙の高橋茂氏、若年層の投票率向上を目指す活動をする学生団体iVote創設者の原田謙介氏、有権者と政党の考え方の一致度を測定するボートマッチを研究を開発する静岡大学の佐藤哲也氏、政策の分析・提言などの研究機関である政策空間の編集委員の谷本晴樹氏、選挙プランナーの松田肇氏らが専門家として参加し、ブロガーのイケダハヤト氏や江口晋太郎氏やトーキョーよるヒルズの高木新平氏などノマドと言われるような若手や、マスコミの関係者、社会起業家、企業の方々、学生などが今回の目的のために活動を1つにしています。
有識者・関係者は60人になっており、そのやりとりはFacebookグループで頻繁に行っています。ソーシャルメディアがなければこれほど短期間で、これまでネット選挙解禁の活動されてきた方や若いスキルの高い人たちが出会い、プロジェクトを進めることは難しかったでしょう。
そして昨日キャンペーンサイトがリリースされ、多くの共感が集まり、様々なコラボレーションや自主的な動きが拡がっています。
・【日本はじまりのお知らせ】インターネット選挙運動解禁まとめ
今後、キャンペーンサイトではさらに著名人のインタビューと動画が追加されていき、公式ブログで専門家や発進力のある方からの寄稿を紹介する予定です。そして5月23日に議員会館で自民、民主、みんなの党の賛同する党内で影響力のある議員の方々に来て頂いてイベントを開催する予定です。そして僕らの声を伝え、6月中に国会でネット選挙運動解禁の法案を通してもらうように働きかけます。
実現するためには世論が今求めていることを伝える必要があります。それにはそれなりの数も必要ですし、様々な場所で情報が発信されたり、イベントが行われたり盛り上がりが必要です。ソーシャルメディアを活用して政治が本当に動くのか?僕ら一人ひとりできることをしませんか?ぜひ、ここで実現し、きたる衆議院選挙で候補者が積極的なインターネットでの情報発信がされて、若い世代の有権者がネット上で演説や公約、過去の実績や議員の人となりがわかるような選挙が実現することを信じています。
4−50代のみなさんも若い人が何かやってるなと傍観者になるのではなく、著名人や企業のトップも距離を置くのではなく、ぜひ一緒に動いて欲しいと思っています。
No VoiceからOne Voiceへ。この活動をきっかけとして様々な問題解決を僕ら自身でしていきませんか?
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