「c2talk」はなぜクライアントソフトなのか? - Beyond Web 2.0
14日の「c2talk」のリリース以来、ダウンロードが殺到し、翌15日にはc2talk.netのサーバーを急遽増強することになりました。嬉しい悲鳴です(笑)。ありがとうございます。
さて、「c2talk」のご紹介をするときに、必ずと言っていいほど「なぜブラウザベースのサービスにしなかったのですか?」と質問されます。私自身「Web 2.0」を説きながら、「これからWebの世界になっていく」と言っているのに、なぜインストールしないといけないクライアントソフトなのかという問いです。
ここで大事なことは「Webがプラットフォームになる」ことと「ブラウザがプラットフォームになる」ことは違うということです。「Web 2.0」=「ブラウザベース」と誤解している人は考えをあらためましょう(笑)。Webのプラットフォームが進化するほど、「あちら側」「こちら側」を意識しない世界になっていくと考えています。たとえば、Tim O'reillyも「iTunes」をWeb 2.0の代表的な例の一つとして挙げていますが、知っての通りこれはクライアントソフトであってブラウザベースではありません。
Ajaxによって、ブラウザ内でかなりリッチなUIを実現できるようになりました。実際、私がAjaxアプリケーションのデモをすると皆さんの驚きは「ブラウザ内でここまでできるのか!?」というところに集中します。「Writely」や「Zimbra」を見ると「もうブラウザしかいらないんじゃないか」と錯覚する人もいるようです。しかし、これらのアプリケーションの本質的に価値の高いところはWebをプラットフォームとしたアプリケーションだということです。私が「Writely」を凄いと思ったのは、「ブラウザ内でよくぞここまでやった!」ということ以上に、「Writely」を使うことはネットワーク上のデータを直接編集することであり、そのために例えば海の向こうにいる人と同じドキュメントを同時に編集していけることでした。そういった意味で、ブラウザ上のアプリケーションは、クライアントアプリの使い勝手に近づくということとは別の次元での根本的な価値があって、このようなソフト(サービス)はこれからもどんどん増えるでしょう。しかし、一方でブラウザ内のJavaScriptにも限界があり、世の中のあらゆるソフトウェアをブラウザ+Ajaxで実現できるわけではありませんし、またこれから増加するネットにつながるさまざまなデバイスで同じような環境が提供できるわけではありません。
Webが進化し、「Web 2.0」という言葉によってその価値が広く認識されるようになった現在、次に起こってくるのはブラウザ内にとどまらず、多くのソフトウェアが、インターネットのネットワークとリソースを直接使う、つまりプラットフォームとしてその上で成り立つソフトウェアになっていくということです。それを「Web 3.0」というのはおこがましいかもしれませんが、Web 2.0の盛り上がりの後には、そのような時代が来るのは間違いありません。
「c2talk」はそんな時代のための「Webクライアント」を目指して開発しました。また、もう一つ大事な理由は、「こちら側」とWebをつなぐためにクライアントソフトをしているという点です。現実的には「こちら側」にあるリソース(データやアプリケーションなど)も多く、また「あちら側」には置けないデータも多くあります。それらのデータをつなぎ、しかもサーバーにデータを置くことなく必要な人とデータを共有できるそのためのソフトウェアなのです。
[2006/08/18 追記] 評価いただきありがとうございます。
・「c2talk」 by Tadaoh Blog
・「面白そうなカレンダーアプリが公開!:c2talk」 by maonekoblog
・「ソーシャルカレンダー「c2talk」」 by YellowFeeling
・「c2talkを触ってみる」 by ひよっこエンジニアリング
・「ソーシャルカレンダー」 by muwmuw.com
・「c2talk」 by Macの手書き説明書
・「ソーシャルカレンダーをクライアントソフトで実現するc2talk」 by ワークスタイル・メモ