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オープンソースビジネスや、オープンソースの動向、IT業界におけるマーケティングなどについてお伝えします!

無料のオープンソースで、どうやってビジネスをするのか?

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前回に続きて、既存のオープンソースに対してサポートサービスを提供する「OpenStandiaモデル」について解説していきます。

技術力でブランディング、「SI部分」+「保守運用」の収益モデル

OpenStandiaモデルの基本的なマーケティグ戦略としては、「◯◯◯というオープンソースであれば、当社は高い技術力がありますよ」といったブランディングを行い、そのオープンソースを活用したいと考えているユーザー企業や大手ベンダー、大手システムインテグレーターから選んでいただくようにします。例えば、オープンソースでシングルサインオンを実現するためのソフトウェアであるOpenAMについて、「当社はOpenAMについては高い技術力があります」というブランディングを行います。そしてオープンソースでシングルサインオンを実現したいと思う企業がWebやセミナーなどでOpenAMに詳しい会社を探し、仕事を依頼します。

通常は、最初にシステム開発(SI)を依頼されることが多く、OpenAMであればOpenAMを活用した企業の認証システムの構築です。その後、OpenAMの保守サポートサービスや、認証基盤の運用維持管理を提案していきます。

従って収益モデルとしては、「SI部分」+「保守運用」という構造になります。年間契約で更新が見込める「保守サポート」や「運用・維持管理」を増やしていくことが、基本的な戦略になります。

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OpenStandiaモデルの難しさ

OpenStandiaモデルの場合、基本的にビジネス対象のオープンソースは、他社が開発したものです。そのため差別化が難しく、参入障壁も低くなっています。

そのため、ブランディングは重要な要素となります。例えばOpenStandiaであれば、「50種類のオープンソースをワンストップでサポート」や「OpenAMコンソーシアムの設立による、OpenAMにおける主導的なブランドイメージ構築」です。

また、どうしても「SIの部分」が残るため、残念ながらOpenStandiaモデルではビジネスとして大きくスケールできるわけではありません。従来のSIビジネスと比較すると利益率は高いですが、今後ご紹介する「RedHatモデル」には遠く及びません。

さらに、オープンソースそのものがコモディティ化してきます。筆者がOpenStandiaを立ち上げたときは、TomcatやMySQLの導入支援でビジネスになっていました。しかし現在ではエンジニアであれば誰でもTomcatやMySQLは扱うことができ、わざわざ外部に委託しよいうという企業は少なくなりました。従ってこれからオープンソースビジネスに取り組む企業には、技術力に加え、「オープンソースを活用してどのようにユーザー企業のビジネスに貢献できるか」という視点でサービスを提供していくことも重要です。

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OpenStandiaモデルを推奨する理由

このように難しさもありますが、筆者は多くのIT企業に、このOpenStandiaモデルを推奨します。その理由は、このビジネスを始めるための投資が少なく、リスクも少ないという理由によります。

既存のオープンソースでビジネスをするため、基本的にソフトウェア開発投資は不要です。必要なのは、オープンソースについての知見を高めるために、調査や評価を行う人件費だけです。またその他の大がかりな設備投資もいりません。万が一ビジネスが失敗しても、負債が残るわけではありません。

それに、保守運用を除けば、オープンソースを使うというだけで、システムインテグレーターのビジネスモデルと何ら変わりません。従って、多くのIT企業が始めやすいビジネスモデルです。

また、保守運用につなげられる可能性があり、SIが残るものの、うまくいけば売上の50%程度はストックビジネスにすることが可能です。さらに保守運用部分では、70%~90%程度の高い利益率を得ることもできます。

IT企業は、ぜひOpenStandiaモデルのオープンソースビジネスに挑戦していただきたいと思います。

来年1月16日(月)に、当社オフィスにて勉強会を行います。

来年1月16日(月)に、当社オフィスにて勉強会を開催します。ご興味ある方は、以下のサイトからご連絡ください!

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https://osslabo.doorkeeper.jp/events/55467

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