サービス品質の評価へ向けて その1
昨日の記事「企業ソーシャル ~可視化だけ、顧客維持だけでは駄目 ~まずは顧客進化の段階と離反のリスクから」がわりとご好評いただき、続きを催促されましたので、お調子者の私としては早速書かせていただこう、と思い立ちました。
昨日の記事の一節に、「どのレベルにおいても、商品及び付帯サービスのサービスレベルが期待値を下回った瞬間、その顧客は離反してしまう」と記したことへのフォローです。
そもそも、ビジネスで、対価、料金の取れるサービスって何でしょうか?
いわゆる触れるモノとどう違うのでしょうか?
典型例としして、航空機で東京から福岡まで人を一人運ぶ「サービス」商品を考えてみましょう。
航空機やX線検査機などのモノも介在はしますが、本質は、ある時間内に、ある程度快適に場所を移動させてもらえること、これがサービスですね。
この、“サービス”という商品には、次の基本特性があります。
–生産行為と消費行為を分離できない
→ 適正価値(価格)の評価 (市場で)が困難
如何でしょうか? モノ商品とはずいぶん違った特性があるのを感得できるのではないでしょうか。ソーシャルCRMをある種の 'サービス商品(の構成要素)' と考えると、ソーシャルの対話自体にも上記の特性があてはまります。以後とりあげる、サービスの品質評価についても同じ原則があてはまりますので、ハイクオリティなソーシャル活動を行う、というだけの目的で考えても、 一連のサービスの特性を無視するわけにはいかない、と納得できるかと思います。
MBA大学院で毎年講義するたびに、必ずといって良いほど質問されたのが、
「サービスは運搬できないっていいますが、福岡まで運搬しているじゃないですか?」というポイントです。
私の回答も毎年決まって、次の通りでした:
その「羽田→福岡に顧客1人を運ぶ」という商品をドイツや中国にもっていくことはできないですよね?
これで、サービス基本特性について中核部分をご賢察、把握いただけたのではないかと思います。
サービスには様々な種類のものがあり、分類法にもいろいろあります。
Lovelockによるサービスの分類をとりあげてみましょう。
←クリックして拡大できます。
ご覧のように、サービスを働きかける対象が人自身であるか、その所有物であるかによる分類軸、そして有形の(具体的な)働きかけ、作用であるか、無形の(抽象的な)働きかけ、作用であるかの分類軸の掛け合わせで様々なサービスを分類、整理することができます。
実に多彩なサービスがありますね。
しかし、サービスはサービスです。モノ商品、製造物とは厳然と異なる、上記の基本特性を共通に備えています。一見全然異なる種類のサービスなのに、共通の特性をもっているなんて、ワクワクしませんか?
少し長くなりましたので、次回、モノとサービスの違いや、サービス商品の内部構造についてもう少し掘り下げてみます。その上で、サービスの評価が、モノの評価とどう異なるか、という本題に入ります。