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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

今日はグループウェアではなく、マーケティングのプレゼンテーション

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普段、私はもちろんグループウェアや情報共有に関する講演ばかりしていますが、サイボウズの元マーケ責任者として、数カ月に一度くらいマーケティングに関する講演を依頼されることがあります。
で、今日は夕方に某IT業界団体へお邪魔して、諸先輩方を前にマーケティングについてのお話をさせていただきます。

毎回資料をリメイクしながら思うのは、本当にITマーケティング(特にマーコム)の世界はものすごい変化しているなあという実感です。
10年前、こういうお題でプレゼンテーションするときはほとんどが「ネットやメール広告でどうやって売上を上げるか」でした。
そして、5年前には「検索エンジンを使ってどうやってお客さんを集めるか」でした。
今や、「ソーシャルメディアを活用してどう売上に結びつけるか」がテーマです。

私とマーケティングのかかわりは、そもそもは最初の職歴のときの番組制作会社で、カメラマンをしながら企業のローカルテレビCMを作ったり、パブリシティ番組のディレクターをしたり、企業へイベントの提案をしたりといったところが始まりですので、もうかれこれ20年以上歴史を体験してきています。

バブル時代に現実感のない華やかなイメージマーケティングを経験して、バブルが弾けてマルチメディア(死語)な販促物をコツコツ作り、やがてはインターネットへという流れまではそれほど速いスピードでもなかったと思います。

その前半に比べて、インターネット以降の変遷のなんと激しいことかと今さらながらに思います。
特に広告手法という戦術以下の戦闘レベルの知識は、5年前のノウハウなんてほとんど役に立ちません。
つい4月にもGoogleが、検索アルゴリズムの大幅な変更を発表して、マーケティング業者が数年かけて構築したページランク上昇のための相互リンク網を一瞬のうちに意味のないものにしてしまいました。

ソーシャルマーケティングが流行り始めた頃から前兆はあったのだが、「強制的に広告を見せる」という広告手法がいよいよ過去のものになろうとしています。
今までは新聞からテレビ、テレビからネットへとメディアは違いますが、基本はマス広告の時代でした。
今からは媒体の大きさに影響力が比例するのではなく、コンテンツの内容に影響力が比例する時代になります。


おとといの日曜日に縁あってプロボノとしてファッションショーのカメラマンをやりました。
このファッションショーは、大学2年の女の子が4月に企画して、協賛や運営メンバーを巻き込み、モデルもスタッフもほぼ大学生とボランティアで固めたショーだったのですが、集客目標がなんと500人!
お金もノウハウもない状態での高い目標数字にはらはらしながら開催までの経緯を見ていたのですが、土曜日はなんと600人を超えるお客様(しかも有料です)が集まり大盛況となりました。

方や、企業が企画するイベントやセミナーの集客は苦戦しているところが多いです。
企画から実行まで3ヶ月でネット広告や検索広告に何百万、何千万と支払って、さらに全社を挙げて集客動員をかけても500人を集めるのは容易ではありません。

しかし、このイベントでは宣伝広告費はほぼゼロで、ソーシャルでの拡散と実行委員長が大学2年生の女子学生という意外性で多くのマスメディアにとりあげられた効果でチケットを売り切りました。

かつての広告はメディアへの投資によるリーチが大切でしたが、今や人にシェアしたくなる話題性のあるコンテンツの影響力が効果を決めます。
パッと見の面白みで目を引く広告を大量に流すやり方ではなく、企業姿勢も絡んだ部分での深みや一貫性とワクワク感あふれる体験が望まれる時代になっています。

オールドタイプのマーケッターとしては、内心忸怩たる思いが無いわけでもないですが、本来の良さがきちんと伝わるいい時代になったと前向きに捉えて、生活を変えるマーケティングコンテンツを産み出してゆきたいと思っています。


【追記】
大学生が3ヶ月で500人集めちゃったファッションショーの経緯についてはこちらを御覧ください
(実行委員長の吉永さんにインタビューしてガジェット通信に投稿した記事です)

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