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もしも洞察力があったなら……。

【広報かるた】・【す】推敲を皆で徹底。しすぎて原形とどめないニュースリリース。

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渾身の力作!と全身全霊をかけて書き上げたニュースリリース。達成感ありますね。何度も読み返し、「なんてすばらしい!」と自分をほめてあげたくなりますよね。

 
しかし、会社が発表するメッセージとして出す以上は、個人の作品のまま、誰のレビューをも経ずにこの世に出されることはありません。上司や関連する事業部の責任者、マーケティング担当や役員、法務や、上場企業ならばインベスターリレーションズ、場合によっては社長や同僚など社内だけでも多くの人たちの確認が必要となる場合があります。また、他社との共同発表などの場合は、相手先企業の確認も必要ですし、お客様事例などではそのお客様自身の確認も必要です。
 
ケースによっては十数人、いえ、数十人のレビューを経なければならない場合もあります。多くの方々は仕事熱心なので、このレビューの過程において、ともすると好き勝手に赤入れを開始します。せっかくの渾身の力作が、たった数日の間に全く別ものとして(よく言えば)生まれ変わることも珍しくありません。その戻ってきた原稿を手にしてあなたは愕然とします。「お、俺のニュースリリースがぁー!」
 
・・・これは極端なリアクションでありますが、広報担当者の仕事に対する情熱が故の側面を表していると言っていいでしょう。一つ一つの仕事に情熱を傾けて達成するからこそ、思い入れも強くなり、自分の思いが伝わらない相手の赤入れに対して心が折れそうになるのです。
 
しかーし。ここはプロとして、冷静に考えることにしましょう。ニュースリリースは何がどう間違っても公式発表文ですから、個人の思い入れなどは極論するとどうでもいいのです。会社として、あるいは事業として適切なメッセージが適切なタイミングで適切な相手に届くことこそ最優先すべきことなのです。ですから、多くの熱心なレビューを経た結果として原型をとどめなかったとしても、レビューしてくれた人たちに感謝こそしても、愕然などという反応をしてはいけません。
 
一方で、事前の準備を経て描いた、今回のニュースリリースで最も伝えたいこと、つまり、その発表の「魂」(グローバルチームではこれをSpiritと言います)が何なのかをレビューする各人に事前に伝える必要があります。いきなりニュースリリースの原稿だけを送りつけるなんて乱暴なことはせずに。
 
ということで、あなたが書いた渾身のニュースリリースの内容をできるだけ原型のままでいられるようにするにはどうするか。もし原型をとどめなかったとしても、あなた自身が愕然としないようにするには何をするべきなのか。そのヒントを記しましょう。
 
趣意書(ブリーフィングシート)を作る
・なぜこの発表をするのか(Why are we announcing?)
・キーメッセージは何か(Key Message)
・要約(Summary)
・重要な事実(Important Facts)
 
レビュープロセスとスケジュールを明確にする
・発表日
・レビューする人や部門の整理と列記。それらの順番まで明確にできれば尚可。
 
変更履歴を常にOn
・誰がいつどのように修正をしたのか。なぜ変更したのかまでコメント付きで履歴が残るようにする。高性能なワードソフトなどを使うと便利です。
 
オーナーシップ
・修正が万が一錯綜したときに、オーナーシップを持っている人物が仕切る。たいていは広報担当だが、担当レベルでどうにもならないときには広報部長や室長など意思決定を組織横断的にできる人物にオーナーシップを取ってもらう。
 
少なくともこれらの準備をしっかりした上で、多くの関係者とのコミュニケーションを開始すれば、大きな混乱もなく、あなた自身納得づくの広報発表を行うことができるでしょう。
 
Good Luck!
 
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