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夏目房之介の「で?」

体が教わる、体がデキる(馬貴八卦掌)

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開掌を習った。動きは複雑ではない。足も、長くやっている人には基本的な扣歩、擺歩なので、難しくない。何が難しいかというと、李先生の、全身に力が通った動きを見てマネすると、どうしても上半身、とくに腕の力でブン回すことになる。おまけに先生の動きは速い。同じ速度感でやると、余計ブンブン振り回し系の動きになり、各部バラバラになってバランスを失する。そこに注意して、とにかくゆっくりと確かめながら、足と腰、背部の力だけで動くように、かつ(単換掌でまた注意されたので)姿勢を崩さず、背中~腰まっすぐのまま行うようにすると、これは難しい。ほとんどの人がブンブン系になっている中、4年以上やっている人は、さすががに足腰がつながってきていた。が、いかんせん、床が滑る。全然、噛めないのだ。どうしても力が滑ってしまう。

ともあれ、開掌を教えてくれたということは、長く習っている人はようやく足と腰の準備ができつつあるということになるのかな。初心者はまず動きを覚えるのに大変みたいだが、腰の感じと扣歩擺歩の規則性さえ体が覚えていれば、じつはわりと簡単に覚えられる動きなのだった。教わるときに目で先生の上半身、腕に無意識に注目してしまう人は、まだ自分の体がつながっていない分だけそうなるので、体がデキてくると、自然と「見る目」が腰背と足に注意するようになる。それさえ伝われば、とりあえず後はザックリでもいいのだ。「体で教わる」とは、こういうことなんだろう。体のデキ具合で、目が変わるのである。
でも、この練習でわかるのは、自分の足腰の力と各部をつなげる力が弱く、ゆっくりやってもなかなか要求される動きができない、ということなんだけど。

あと、単換掌のとき自分ではそれなりにつながっていると思っていた全身の動きが、じつはデキてないってこともわかる。扣歩、擺歩の不十分さ、中心軸がどうしても動作中に傾くことなど、課題が多い。逆にいうと、いかに基本的な要求を満たす体ができてないかが、すごくわかる動きだった。これに比べると、一見もっと単純に見える撞掌のほうが、ずっと難しくて、勘所がよくわからん。それに疲れるし。
開掌も、本当に腰と背で発力できたら、ものすごく疲れるだろうけど、まだそこまではいってないんだよね。

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