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夏目房之介の「で?」

日曜洋画劇場『ザ・コア』

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2003年の映画。昨今は珍しい「地底冒険」モノつことで、何となく観た。
ホント、久しぶりに何もない日曜日。のんびりと買い物をし、昼ねをし、かつて毎週観てた「さんまのカラクリTV」を観て、さて「K-1」は深夜1時から・・・・とか思いつつ、森下裕美『夜、海へ還るバス』(双葉社)を読みつついたら映画が始まった。
意外なほど面白かった。後半、けっこう集中してしまった。
昔は、それこそ手塚さんの『地底国の怪人』的なものから、ディズニーの実写SF『地底探検』(ヴェルヌの原作)なんかもあり、『009』にも地底空洞説の地底帝国モノのイメージがあったけど、さすがに最近は見なくなった。
でも、高熱と圧力の中を進行できる船、というありえない前提を「ある」といいはってしまえば、とりあえず地底モノはできるわけだ。問題は、たぶんそこに空洞も、意外な世界もありえないという「常識」の共有かもしれない。
この映画の「面白さ」は、その意味で「実際には目視できないが、情報をCG処理した映像をモニターで見ることができる」というイメージの常識化がもたらしているのかもしれない。たとえば、地中船のモニターに映る「空洞」やダイヤの塊、それを避けて操縦するドライブ感、あるいはコアの対流を復活させるべく原爆を次々爆発させ、その波紋が共振現象を起こすライブな映像などは、あきらかに目視できない種類の合成映像で、しかしそこに「リアルな切迫感」がありうると観客が感じられる時代だから成り立ったということだろうと思う。
かといって、地底モノが合いかわらず今は難しい主題であるのは同じだろうから、けっこうよくデキてた映画だってことだろうね。

ちなみに森下のマンガは、まだ途中だけど、やはり面白いです。

追伸
森下裕美『夜、海へ還るバス』は、かなり力作。結婚前に自分の中の女性との恋愛の可能性を巡って迷い、結果近所の奥さんと一種の恋仲になり、その過程で自分の母と対峙し、トラウマをさぐり、最終的には母に「さよなら」を告げるという物語。この話が必要な人には、かなり深く読める可能性のあるマンガでした。ただし「笑い」はなし。

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