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夏目房之介の「で?」

7月30日自主ゼミで「マンガの描き方」本特集

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ゼミ生が夏休み中も毎週自主ゼミを開いている(スゴイなー。少なくともゼミの雰囲気作りには成功したってことだが、やる気満々な人が集まったということですね、ありがたし)。7月30日には伊藤剛『マンガは変わる』の「漫画の描き方本の基礎知識」をベースに「マンガの描き方」本を、学生諸君が各自担当した本について報告。

1)岡本一平『新しい漫画の描き方』新進社 1930
(※コミックストリップは「連続漫画法」、カトゥーンは「画報漫画」になっていた)
〈藤原時代末期の鳥羽僧正覚猷をもって本朝漫画の鼻祖とする。[略]寛政の葛飾北斎に『北斎漫画』の著がある。漫画と銘打ったのはこの人が始めてゞあらう〉
〈何の歴史でも起源をエジプトに持って行くやうに漫画の歴史も勿体振ればエジプト時代からあったと申します〉※ショットさんあたりまで続く「北斎がはじめて漫画を使った」説がすでにあったこと。日本と欧州の起源論について、欧州のそれに対してだけ皮肉っぽいのが面白い。

本当はここに手塚本がくるのだが、担当学生不調のため欠番

2)『石森章太郎のマンガ家入門』正続版の合本 87年 原著65~66年 石森27歳
※のちのネームに相当する語は「コンテ」。1コママンガのことを「カツーン」とする(石子あたりも同様だったが、誰の影響か?)。4コマを「起承転結」で説明。ドラマの起伏をグラフとして視覚化したのは影響があったのでは?
※徹底的に「自分のこと」「どんな過程でマンガ家になったか」に焦点が当たっている。

3)鈴木光明『少女マンガ入門』 79年
※徹底的に「読者に伝わる」ものであることを強調。「マンガは大勢の読者へのラブレター」(このあたり石森の「自己表現」的側面と比較するとかなり「商業的」で「読者」が強調される)
※少女マンガはテーマ(狙い」だけでなく「ムード」「ロマンス」が大切。ロマンスを追求して人間心理の描写を深めたという観点。
※コマの流れと顔の向きをあえて逆にして印象を強め、視線を止める。
※「コマわり」は「わかりやすさ」である。
※映画用語の「ショット」は映画の1カットのこと、マンガでは1コマのこと。

4)里中満智子『少女コミックを描く』 NHKテキスト 91年
※ストーリーを起承転結で説明。主要キャラクターごとの展開の組み合わせで、いく通りでも話が作れる観点→二次創作的想像力との関連? かなり実践的か?
※キャラクターの性格を目のパターンの組み合わせなどで作っている。手塚の記号説の継承だが、こういう絵だと似顔は描けない。マンガの記号的な側面とストーリーの関連。

5)ルイス・トロンダイム、セルジオ・ガルシア『バンド・デシネ 学習と理解』
1、コマについて 2、吹き出し 3、文字(音喩、書体) 4、形喩 5、背景の描き方 6、絵の描き方(写実~抽象)、キャラクターの特徴、絵の曖昧さなど 7、色の意味 8、絵とテクストの関係(物語の基本的な構成法、絵のないマンガ?) 9、再びコマについて(1コマに流れる時間と複数のコマの間で流れる時間、コマ間のモンタージュ効果) 10、物語の語り方 11、BDの特性 ※マンガ形式で描かれ、かなり興味深い内容を含む。発表者・原正人氏による翻訳で2pほど読めたが(なぁんて贅沢なんだ!)翻訳本出ないだろなぁ。読んでみたいが。

セルジオ・ガルシア『あるBDの冒険』デルクール 2004年
BD制作から出版までをコママンガと図解で学習マンガのように展開

ジャン=ブノワ・デュラン『BD取扱説明書』 98年
※作り方=1、テーマ 2、シノプス 3、シナリオ 4、絵コンテ ※BDでは展開は三段階で説明 1、きっかけ 2、発展 3、結末(日本の「承転」の部分が一つに?)

各々の発表は短いが、充実してて勉強になった。毎回は出られないけど、次回は『マンガの読み方』なので、出ないとね。制作時の資料が、まだ見つからない。たしか研究室に運び込んだと思うんだけど・・・・。見つからなかったらごめん。

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岡本一平さんを評論するのは断固反対を表明する!

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