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夏目房之介の「で?」

昨日は学部の懇談会で講演

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懇談会っていうのは何かっていうと、普段は大学の先生方が専門を越えて横断的に集まり、新任の先生の専門分野についての話を聞き、質問したりして交流する会なんだそうです。たしかに、大学というのはほっておくと先生も学生もまったく横断的に交流する機会のないところで、もっとも学際的な交流のできそうな場なのに、もっともできない状態に置かれているというのはよくわかる。
そこで、気軽なお話をしてほしいとのことだったので、何を話してよいかわからぬまま、とりあえず「マンガと學問」というタイトルだけ出し、もちろんこの「學問」は僕が80年代に週刊朝日のデキゴトロジー欄でやってた連載のタイトルであって、シャレにもできるようにつけたのだけど、一応、マンガ言説の流れなどを略史的にまとめたレジュメを配り、あとは適当に個人史を中心に脱線しつつ話した。1時間ほど話して、あとはささやかな立食パーテイへ。
今回の懇談会には、ウチのゼミ生も数人参加し、他大学からも卒論でマンガを扱う人などがきてくれて、そのうちの一人は身体表象にきたいとのことだった。
一人ひとり自己紹介などしていたら時間がなくなり、歴史の先生、心理学の先生など、ほんとは色んな人と話せればよかったのだが、そうもいかず、よその学生二人と卒論の相談(オノマトペとマンガ・アニメ・映画の関係をやろうとしている女子大生と杉浦茂を扱おうとしている男子学生)みたいな話をしたら、もう時間ぎれ。なので、そのあと数人の学生などと一緒に小一時間ほど目白駅前でお茶して話してから帰った。

杉浦茂をやろうとしている学生さんは、なかなかいい感じに勉強していいて、手ごたえがあった。明学の山下裕二さんの学生さんだそうだ。
オノマトペの話しをした学生さんは、言語学からやろうとしていて、なかなか難しいところに乗り込んでいる感じだ。オノマトペをどう扱うかは、そもそも言語を体系的に取り出そうとするとうまく整合性をもてないので排除されてしまうような領域なので、すごく面白いけど難しい。言語学の知見を知らない僕がいうのも何だけど、言語学を離れたいろんな角度からアプローチする必要があるかもしれないな。

いずれにせよ、マンガを論文で扱いたい学生さんが色々いて、楽しい。
海外でのマンガ現象に興味のある人がいたり、少女マンガについて本格的な研究を読みたい人がいたり、ブログを見ているといってくれた人もいたり、日本古代史で庶民の流行などについても研究している人が僕の話しに興味をもってくれたり、ホントはもっと交流できたらよかったのですが、なかなか大学の中って難しいですね。
まあ、そのうちおいおいに・・・・です。

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