未来を注文したら現実が届いた 〜ZOZOSUIT〜
「未来を注文したら現実が届いた」
ZOZOSUITを注文(と言っても無料なのだが)していたIT界隈の少なくない面々が「落胆」をつぶやいている。
スタートトゥデイ、採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の大量出荷版 "第2世代" についてである。
昨年11月に発表され、話題となった ZOZOSUIT 。それは、伸縮センサー内蔵の採寸用ボディースーツで、スマートフォンとBluetooth通信で接続することで、人体のあらゆる箇所の寸法が瞬時に計測でき、そのデータをZOZOTOWNアプリに保存する事ができるというものだった。
スタートトゥデイ、採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」 を無料配布 本日より予約受付開始~ 体型データの活用により、ファッションECの課題であるサイズの不安を解消。更にプライベートブランド 「ZOZO」 でも活用 ~(2017年11月22日)
伸縮センサーで全身を採寸し、Bluetoothでスマホアプリに送信。デザインも未来的、しかも無料ということもあり、発表直後から注文が殺到したという。 同社によれば、大量の注文により生産が追いつかないとのことだったが、無料配布とするための原資の問題もあったのであろうとも考えられる。
そんな中で第1世代発表から5ヶ月後の先週発表されたのが "第2世代 ZOZOSUIT" である。
こちらは "第1世代" とは全く異なる採寸方式となっている。 伸縮センサー、Bluetooth などは内臓せず、黒地に白のマーカーが300〜400個の付いた水玉模様のスーツを着用し、スマホアプリで撮影することにより採寸するというもの。
どうやらこの発表で入手した技術の様である。
スタートトゥデイ研究所、アイデア買い取り第1弾を発表
~ 「ZOZOSUIT」よりも、更に簡単に低コストで高精度な体型計測が可能となるアイデアを3億円で買い取り決定 ~(2018年2月15日)
"カッコ悪い"、"がっかり"、"いらねー"など初代の見た目や最新ガジェット感覚に期待していたユーザーの落胆の声もわかる。確かに比較するとかなりカッコ悪い。
しかし、もともとの目的である "顧客がサイズを簡単に高精度に採寸できる" ということを実現する手段を短期間に変更して、かつ目的は果たすという同社のスピード感は凄まじいものがある。
初代の発表が昨年11月22日。その後、生産が追いつかないため最大6ヶ月(一部8ヶ月との噂もあり)の発送遅延の連絡をしていた中で、前述の新方式採寸の技術の買い取りを発表したのが2月15日。そして、4月27日の決算発表において "第2世代" を7月中旬までに予約者全員に発送すると発表した。
売上高984億円、経常利益327億円という決して小さくはない企業が、こんなスピードで動けることは驚くべきことだと思う。従業員数870名、平均年齢31.6歳というニッポンの伝統的大企業との違いを差し引いても、このスピード感は経営トップのリーダーシップに依るところが大きいのだと思う。
多くの日本企業にとって、研究し、学ぶべき企業のひとつであることは間違いない。