IT屋による他業界のV字回復経営〜スカイマーク西久保社長と成城石井 大久保社長
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ご存知の通り、スカイマークが経営破綻した。 国内航空3位である同社は民事再生法の適用を申請した。
この航空ベンチャーとも言うべきスカイマークを率いていたのは、元IT企業経営者である西久保愼一氏である。 最終的に不運が重なったこともなり現在の状況があるわけだが、同社をV字回復させたのは間違いなく彼の功績である。
彼の経歴は、神戸大学工学部を卒業のバリバリ理系。 卒業後、他社に入社するも、ほどなくIT業界のベンチャーで走りであったソード電算機システムに入社。 ソードでの経験を生かし、起業し大成功したのがマスターネット。 携帯電話と接続してメールを送ることができるサービスであり、ドコモと提携した「10円メール」が大ヒット。 上場を果たした。
その後、当時債務超過となっていたスカイマークに対してポケットマネーで出資し筆頭株主となり、2004年にスカイマークの社長に就任した。
ITに詳しい西久保氏は、柔軟で細かい運賃設定ができるようにシステムを再構築し、その結果、競合他社と比べて割安な新しい料金体系が可能となり、結果スカイマークはV字回復を果たした。 まさに、自らがリードしてITを活用することによって経営再建を実行したと言える。
少々毛色は異なるが、成城石井をV字回復させた大久保恒夫元社長も、リテイルサイエンスという小売店舗の棚割りソフトウェアを開発・販売するIT会社の創業者でありオーナーである。 ただ、大久保氏の場合は、もともと小売業界が専門で、現場の改革のためにソフトウェアを開発したのでIT屋と呼べないかも知れない。 しかし、ITの知見があり、その活用をリードできるという点が西久保氏と重なる点も多い。
このお二人について詳細は存じ上げていないが、拾い読みした記事等から推測すると、以下の共通点がありそうだ。
- 現場主義: 自ら現場に出向き、現場の状況を把握し、自ら改善・改革のアイディアを出し、実行する。
- 合理的: それまでの常識や過去のしがらみに縛られることなく、客観的・俯瞰的に合理的な方向、方法を追求する。
これらは、システム思考そのものであり、やはり 「IT屋」 のDNAがV字回復の経営に生かされた例と言えるかも知れない。
ただ、システム思考だけではイノベーションは生まれない。 そこにデザイン思考が必要なのだが、彼らがデザイン思考的なアプローチをしたのかどうか、調べてみたい。 (ミニスカートのCA制服は、デザイン思考から生まれたのか?等)
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