世界が憧れる日本の多様性:JAPAN(S) ←複数形
ネットワンシステムズ社主催の Executives Networking Meeting "縁座(えんざ)” に参加させていただく機会を得た。
年2回行われていて統一テーマでシリーズ化されているとのことで、現在のシリーズの統一テーマは ”日本とは何か ー 卒近代・脱近代・超近代を考える”。そして、今回のテーマは、”失われた面影を求めて” ということであった。
主宰は、編集工学研究所の松岡正剛氏。 ゲストに作家・評論家の松本健一氏、フォトジャーナリストのエバレット・ブラウン氏(Everette Kennedy Brown氏)。
冒頭での松岡正剛氏からの問題提起は、日本が本来持っているよいところ、それを感じさせる面影が失われているのではないか? ということであった。
なるほど。 面影とは、”奥に隠されていて、少し見え隠れする「印象」” でもある。 First Impression に近いものであるかもしれない。いや、じっくりと時間をかけて観て判る印象なのかもしれない。何れにしても、僕が最近興味を持っている ”印象管理” "Impression Management" に近いものだと感じた。 様々な事前情報で ”難解” だと聞いていた講演だったが、この時点でやっと少し興味がわいてきた。
冒頭の松岡正剛氏の話の後に続いたのは、”日本のダブルスタンダード” (松本健一氏)、”日本の匠”(エバレット・ブラウン氏)、そして最後に”内と外から見た日本”(松岡正剛氏)。
しりーずの全体統一テーマや今回のテーマと、これらの講演タイトルや順番、内容に深い意味、意図があるのだろうが、途中睡魔との戦いに破れたりしながら聴いた僕のメモ書きを以下に紹介しておくことにする。(メモなので、先生方の発言と僕の印象や考えがグチャグチャに入り混じっています。)
- 面影とは、イメージである。印象である。Impressionである。
- グローバルカンパニーに求められるものは何だろうか? 自分からみたイメージだけでよいのか? 外部からどう見えるのか? を意識して、印象を管理すべきではないか?
- 松本健一氏のダブルスタンダードの話は、氏の膨大な知識に基づくウンチク系で、残念ながら僕は睡魔に敗れた。
- 続くエバレット・ブラウン氏の写真スライドショーと共に語るプレゼンテーションは素晴らしいものだった。
- 日本は多様性を持っている。この多様性は世界と競争する時の大きな武器となる。日本人はそのことに必ずしも気付いていない。
- ”遊びの文化”。 最近のサブカルチャーも含めた”遊び”に(外国人は)多様性を感じる。携帯のデコレーション、一昔前のガングロ、 既に世界に注目されているアニメなど。
- この多様性は世界が憧れるもの。 多様な日本 = (複数形の)JAPANS。
- この多様性は、どこからきたか? 日本古来からの神道の ”八百万(やおろず)の神” への信仰から?
- 全てのモノに神が宿る。IoT (Internet of Things) ならぬ GoT (Gods of Things) だな。
- そして、宿る神は、そこに定住しているのではなく、ゲストとして招かれるもの。なので、神社や鎮守の杜などの中心部は、招かれる神のために ”モノが詰まっているのではなく 空いている” ことが多い。
- 多神教は、一神教と異なり、他の神様(=他の宗教)を受け入れやすい。何しろ、神様がたくさん存在することを許容しているのだから。
- なので、日本では (恣意的、政治的に進められたことも否めないが) 神仏融合が起こった。
- 多神教をベースとした日本は本当に”多様性”を持っているのか?
- 多様性とは全く正反対のことも多い。
- 日本の教育は、”しつけ”、”規律重視”、”詰め込み”、”知識偏重”、”個人よりも集団”、”個性を伸ばせない” などの批判も少なくない。
- 教育だけでなく、日本の社会もまた、道徳や規律、マナーに ”うるさい” ことが多い。
- また、伝統や格式を重んじるということも多様性には結びつきそうもない。
- これらは、多様性ではなく、正反対である画一性を生じさせる要因だろう。
と、ここまで考えると、昨年11月に秋葉原メイドカフェを貸し切って開催したCLUSTER(私が主宰のIT業界勉強会)のテーマ:”英国と日本、伝統格式とサブカルチャー” と重なる点が多い。
伝統を重んじ、また”英国紳士”のような自らを律するような文化であるイギリスからUKロックやパンクロックなどが生まれる。
それと同じように、画一的にみえる日本からアキバ系に代表されるような他国に見られないような ”ぶっとんだ” サブカルチャーが生まれている。
今年のCLUSTERで、この日本の多様性と日本の(そして日本のIT業界の)未来に向かう進路のようなものをテーマにしたラウンドテーブルを開催しようと思う。
最後に、大変勉強となる会合に参加する機会をいただいたネットワンシステムズ株式会社および関係者の方々に対して、この場を借りて御礼申し上げます。