クラウドの作り方 ~コンテナデータセンター~
10月末に参加したIIJの松江データセンターパーク見学ツアーから早くも1ヶ月が過ぎようとしている。 前回のブログ記事でも書いた通り、コンテナデータセンター自体も興味深いものでしたが、ご一緒させていただいた個性豊かなブロガーの方々とのお話が面白く、また勉強になりました。 そんな皆さんのブログが出揃ったようで、IIJのクラウドサービス:GIOの公式ブログで紹介されています。
さて、この松江で伺った話の中で興味深かったことの1つが、コンテナデータセンターってどこで作ってるの? ということでした。
説明を聞く以前に想像していたプロセスは以下のような感じ。
コンテナは規格品でレディメード。
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それをデータセンター設置場所に運んで設置し、箱(ハコ)としてのデータセンターを完成させる。
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メーカーに大量のサーバーを発注。数百台のサーバーがコンテナ設置場所に届く。
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エンジニアが1つづつ梱包を解き、検品し、1台づつ狭いコンテナ内のラックにマウントし、設定していく。
通常のデータセンターでも、キッティングのためのスペース確保に苦労しており、また大量に発生する梱包材の処理にも困っていたので、実装密度の高いコンテナデータセンターでは、更に大変なことになっているのだろうな、と思っていました。
しかし、そこは移動可能なコンテナ!! IIJの場合には、以下のように実装していったそうです。
まず、コンテナ工場 (というかデータセンター専用のコンテナを作る工場) でコンテナを製造。
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その後、コンテナをサーバーキッティングセンターへ輸送
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サーバーキッティングセンターは、メーカーのサーバー工場内(または隣接?)にある。
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従い、メーカーが製造したサーバーを梱包することなく、そのままコンテナ内のラックにマウントする。
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コンテナ内に全てのサーバーのマウント、設置が完了した後に、コンテナをデータセンター設置場所に輸送する。
IIJの松江の場合、1コンテナに300サーバーを実装しているとのことでした。
サーバー300台のラックマウント作業からエンジニアは開放され、また300台分のダンボール等の梱包材を使わずにデータセンター内のサーバー実装が完了するわけです。
コンテナデータセンターは、”地球環境とエンジニアにやさしい” という意外な側面でした。
このコンテナのセットアップ行程ですが、気になるのはその移動距離。
IIJの資料によれば、コンテナの移動距離は、なんと日本を縦断するほどの距離でした。
静岡でコンテナをつくり、福島でサーバーを取り付け、設置場所である松江まで運ぶ!
これも実証実験の一貫だったそうで、エアサス付きトラックでの搬送で、サーバー等機器には全く問題がなかったのことでした。ちなみに基になたので質問したところ、ハードディスクも実装した状態で運んで、全く問題なかったとのこと。
ITインフラの整備、実装の際には、各レイヤー(例えばデータセンター設備屋は設備だけ、 サーバー屋はサーバーだけといったように) 毎に検討、計画しがちなのですが、クラウド (IIJの場合には、IaaS) として設置場所からIT機器、更にはソフトウェアのレイヤーまでを統一的に見ることが必要だと再認識させられた事例でした。