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東京一極集中の「霞が関クラウド」ではなく、地域分散型「霞が関クラウド」を!

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2009年3月17日に総務省が発表した「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)」は、緊急提言「ICTニューディール」(2009年2月23日)等を踏まえ、今後の3年間に集中的に実施すべき重点施策を纏めたものである。

一通り目を通すと、ICT(情報通信技術)を活用した景気対策、雇用対策、地域活性化、国際競争力強化など、網羅的に対応しているものである。
まさに今、待っていました!といった実効性のあるよいプランという印象を持った。

このICT鳩山プランの中には、

"「霞が関クラウド・データセンタ(仮称)」の構築"

ということが明記されている。

「霞が関クラウド」は、各省庁がバラバラ構築、運用しているシステムを統合・集約化し、共通機能のプラットフォーム化を実現しようというものである。
この「霞が関クラウド」を支えるインフラが「霞が関クラウド・データセンタ(仮称)」ということになる。

ところで、このクラウドという言葉は、もともと「雲」(Cloud)を意味する単語である。
クラウドコンピューティングは、同じ雲(ネットワーク)の中にあるコンピュータを利用する際に、それぞれのコンピュータの場所(設置場所およびネットワーク的な位置)を気にする必要がなくなる技術である。

"政府が中央省庁のシステムのためのデータセンターの構築を発表!"と聞くと、冗長構成やバックアップも含めて2箇所か3箇所のデータセンター建設を計画している。それ、誘致だ。さあ、圧力だ(?)!と、各地域が熾烈な競争を始める構図が眼に浮かぶ。
しかし、"クラウドは雲"であり、「霞が関クラウド」は、特定の2、3箇所ではなく広く日本全国を包む大きな"雲"であるべきだ。

幸いネットワーク技術の進展は目覚しく、また日本の技術力もきわめて高いので、この大きな雲、すなわち全国に跨る次世代高速光ネットワーク網の構築は、日本のメーカーと大学の共同事業として推進すれば実現可能だと確信している。

"雲"が実現できるのであれば、全国に跨るクラウドコンピュータは有機的に結合できる。

よって、「霞が関クラウド・データセンタ(仮称)」は、

全国各地に分散する、地域分散型「霞が関クラウド・データセンタ」

とし、技術、ノウハウ、雇用の東京一極集中を避け、地域活性化を図るべきだと提言する。

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