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"Utility" CRMコンサルタントが贈るワーク/ライフスタイル羅針盤

システム導入の失敗を回避するには「使わせないシステム」を考える

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前回の更新から間隔があいたのに加え、iPodやNetWalkerなど色々話が拡散気味でしたので、久々に堅めな話としたいと思います。というのも佐藤さんの「使われないシステム」というものをみたからです。もともとはこの記事がコトの発端ですが、色々情報が詰まっているのでこれをみながら書いてみることとします。

「使われないシステム」の要因~e-Japan構想における失敗から

e-Japan構想が出てからかなりの時間がたちましたが、やはり「ムダ」と判断されるシステムが乱立してしまいました。このように至ってしまった要因としては以下のようなものが考えられます。

  1. データだけで完結できず、システム化にそぐわない業務であった
  2. 申請件数が少なく、システム化の効果が得られにくい
  3. 申請や事前インストール作業を要求したりと使うためのハードルがやたら高い

最初の2つは救いようがない、という結論になります。これについては、構想策定の段階で目的とゴールをきちんとおさえて検討していれば大外しすることはなかったはずです。もし、この段階で外部コンサルタントが入って検討していたのであれば、彼らは自らの存在価値を認識してこの時点で「No」と宣告すべきでした。

性質の悪いのは3です。e-Japan構想自体は決して悪い内容ではないですし、国の行政手続が電子的にできることは我々国民にとって必要なことです(総論として)。言い換えればこのようなシステムは「使わせないシステム」であり、単純に現在の利用者が少ないから、といって廃止、という判断は何かヘンです。To-beの業務はどこに行ってしまったのでしょうか。本来であれば、システム改修やシステムとは関連しないチェンジマネジメント的な活動で使ってもらうことが必要です。もちろん、そのためのコストがあまりにも膨大だと一旦廃止という判断とならざるを得ないのは言うまでもありません。民主党政権になり近視眼的な検討にならないことを祈るところです。

CRM関連システムのうちSFAとDWHは鬼門

電子政府とは話は全く変わりますが、一般企業のCRM関連のシステムのうち、SFAやDWHは情報系の色合いが強いため、使わなくても業務が成立してしまう、ということで「使われないシステム」となってしまうことが多く見られます。この点ではe-Japan構想での失敗例と比較的似ているところです。

この領域は比較的パッケージも多く、ついつい「とりあえず導入すれば後は何とか結果がついてくるだろう」という発想になりがちです。そのため、やたらと入力項目が多かったり使い勝手が悪いという理由でデータが蓄積されないか、データがムダに蓄積されてその後何も使われず、結果的にユーザーにそっぽを向かれて終了、という悲しい結果になります。これは言い換えれば、免許取得直後の初心者ドライバーがいきなり何も考えずフェラーリやTVRを買いに行き、コンビニの駐車場にある段差で車体をこすって泣きを見るようなものです。私もいくつかのお客さまに「時期尚早」とお伝えし、このような悲劇にならないように回避したことがあります。

本当に必要なのはまずどのような顧客層にどのようなマーケティングとセールスを行うかというビジョン作りと業務設計です。そして使う人間における一定の業務的なリテラシーの定着です。これがないと、どんなシステムを作っても成功には至りません。

使われないシステムをなくすためには「使わせないシステム」も考えてみる

オリジナルの記事ですと「CIO機関の重要性」についてあげており、構想策定の時点で投資対効果をまじめに考えれば先のような悲劇は防げることには違いはありません。しかし、CIOが目を光らせる範囲には限界もあります。

ではこの場合は一体どうすればよかったのでしょうか。そのためには業務設計もシステム設計においても、逆説的に考えることが助けになります。つまり「使わせないシステムをどのように作れば良いのか」ということを考える、ということです。例えばなるべくシステムにログインさせないためにはどのような邪魔をすればよいか、ユーザーの使う気を合法的に萎えさせるにはどうしたらよいか、と考えると、驚くほど今既におきている事象が反面教師的に当てはまるはずです。

我々も含めて、システムづくりを成功させるためには、「使ってくれない」という他力本願的な考え方ではなく、そもそも「使わせていない」、つまり失敗の種は自らが作り出すものだということを肝に銘じて、謙虚に仕事を進めていくことが必要です。

今回は堅めですが、いよいよインテリアがらみの内容も次回以降書いて行きたいと思います。

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