スティーブ・ジョブズ氏不在のApple社。私の考える不安材料は。
Appleのスティーブ・ジョブズCEOの病気療養による休職を1月18日に発表した。
復帰がいつになるかは明かされていない。
Appleといえばスティーブ・ジョブズ氏。
それは株価にも反映され、一時6%も下落した。
Appleの新事業サイクルが3年であるため、3年間は大丈夫だといった発言もある。
しかし、私の見解は以下のとおりである。
まず、少なくても半年間は今の好調さを維持するだろう。
その最大の理由は「使っていて気持ち良い感覚」をもった製品を世に送り出し、しかもそれらの製品の売れ行きが非常に好調でしっかり利益を出していることである。昨年10月から12月までの四半期で過去最高の売上高を達成している。
そして心配事もいくつかある。
Appleファン=ジョブズファンといったジョブズ氏の熱狂的なファンが多いのがAppleファンの特徴である。
そこで、今後の新製品には注意しないといけない。
というのもデザインや機能でAppleらしくないとユーザーが感じてしますと、ジョブズ氏だとこういう製品は出さないといったユーザーの意見がネット経由で広まってしまう可能性があるからである。そうなるとAppleの評価が下がってくる。
これはジョブズ氏の休養期間が長引いたり、今後CEOが交代した場合も要注意である。
また、ジョブズ氏が新製品の発表をしなくなることも影響が大きいだろう。
うわさではiPad2がこの2月には発表されると言われている。ジョブズ氏抜きでどれだけ新製品発表会が盛り上がるだろうか?
あれだけのスマートなプレゼンができる人はそういるものではない。
3か月後なのか半年後、はたまた1年後になるか分からないがジョブズ氏が復帰すればAppleは盛り上がるだろう。
復帰までの期間が長引けば長引くほど、商品の出来具合に関する心配が大きくなってしまう。またジョブズ氏が復帰するまでの新商品発表会の盛り上がりが今ほどではなくなってくるのではないかと心配になってくる。
そう考えると私は半年後までにはジョブズ氏が復帰しないと、少しずつ業績にも影響してくるのではないかと考えている。
別の視点から見てみよう。
以前、任天堂には「ウルトラハンド」「ウルトラマシン」「光線銃」そして「ゲーム&ウオッチ」等々のヒット商品を世に送り出した横井軍平氏がいた。
その横井軍平氏が任天堂から離れて独立してからも、その遺伝子が任天堂に引き継がれてきた。
特にマリオシリーズやゼルダシリーズ等の大ヒット作を生み出した宮本茂氏が横井軍平氏の後、才能を引き出していった。
Appleもデザインのジョナサン・アイブ、技術屋のスコット・フォーストールといった優秀でジョブズ氏の信頼を得ている人たちが脇を固めている。
そして、これまでの2回のジョブズ氏不在のAppleをうまく先導したティム・クックCOOがいる。
こう考えると、ジョブズ氏の復帰までの時間が長引いた場合でも最良の製品、そしてセンスのある経営ができるのではないかと安心する考えもできる。
今後はジョブズ氏の思想がApple社内で実践レベルで引き継がれて「使っていて気持ち良い感覚」の精度を落とさずに展開していってほしい。
ただ、この「使っていて気持ち良い感覚」を生み出すには”センス”と”経験”が必要である。特にAppleの場合はジョブズ氏のリーダーシップと判断でこの部分を担って押し進めていった。
このことがジョブズ氏のいないApple社の一番の不安材料なのかもしれない。
「使っていて気持ち良い感覚」とは、操作感だけではない。そこにはデザイン、そして機能も含んでいる。
Apple社には、他社がまねできない「使っていて気持ち良い感覚」の製品を追求し続けて欲しいといった願いを込めて、少し不安材料も上げてみた。
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