2018年新卒採用を振り返る(前編)
〜いまだ採用目標数に達しない中堅中小企業が増加〜
8月も中旬を過ぎ、多くの企業が18採用を終え、大学3年生の夏休みに合わせた19採用向けインターンシップを実施しています。
しかし、中堅中小企業の中には採用目標数の内定者を確保できていないところもあります。
売り手市場で厳しいといわれた18採用ですが、実際のところはどうだったのか。
弊社のお客様の採用状況のデータ(7月中旬時点)などをもとに振り返りをしてみたいと思います。
●インターンシップが早期接触の手段として定着
新卒採用は採用活動解禁日、面接解禁日など、何十年も前から採用スケジュールに関しての企業間での取り決めがあります。
しかし、いつの時代も必ずルール違反をする企業が出て、倫理憲章は遵守されたためしがありません。
それは今年も同じでした。
そんな中、ここ最近、学生との早期接触の手段として定着してきたのがインターンシップです。
企業はインターンシップに参加した学生の中から、採用したい学生に目をつけ、その学生に出来るだけ早く内定を出したいので、その後の採用活動も当然前倒しになっていきます。
このような考え、動きが横行している中、倫理憲章が遵守されないのは当たり前のことと言えるでしょう。
弊社のお客様のデータから見ても理系学生の内定出しのピークは4月後半、文系学生の内定出しのピークは5月後半になっています。
ただ、採用活動は早く始めたからといって、必ずしも早く終わるといったものではありません。
売り手市場下で母集団(応募者)(→選考数→内定数)が減少している企業が中堅中小企業を中心に増えています。
また優秀な学生はどこの企業も欲しいので、優秀な学生であればある程、複数内定を持ちますが、入社先は1社ですので、結局、他社を断ることになり、それが内定辞退の増加に繋がります。
その結果、採用目標数を達成するために採用活動は長期化となり、インターンシップによる早期化と相まって18採用は早期化&長期化の流れが一層顕著になったと思います。
●18卒大卒求人倍率1.78倍の裏に隠された数字
売り手市場は18卒の大卒求人倍率にも表れています。
リクルートワークス研究所の調査によると18卒の大卒求人倍率は1.78倍で、6年連続で上昇しています。
この数字だけ見れば、そこまで高くない数字に見えるかもしれませんが、これはあくまでも平均値です。
これを企業の従業員規模別で見てみると5000人以上の企業の平均は0.39倍、反対に300人未満の企業は6.45倍となっています。
もっとわかりやすく言いますと300人未満の企業の採用目標数の合計が1万人だとするとそこに実際に応募してくる学生が1500人しかいないということを意味しています。
逆に5000人以上の企業の採用目標数の合計が1万人だとするとそこに2万5000人の学生が応募しているということになります。
前述したように元々の応募者が少なければ、選考や内定までいく学生が少なくなるのは当然のことです。
実際、大手企業のほとんどは採用目標数に近い内定者を既に確保していますが、採用目標数に対して、内定者が2割に満たない中堅中小企業が4割近くもあるのです。
またこれから新たにエントリーを受け付けると言っている中堅中小企業は6割を超えています。
本来ならば、18採用を終えて19採用の準備に入りたい時期にも関わらず、18採用を継続せざるを得ないという状況なのです。
●「超厳しく、超難しい」状況になる19採用
18採用を振り返ってみると
・倫理憲章は遵守されず
・採用活動は早期化&長期化
・売り手市場で重複内定が増加したことで、内定辞退も増加→内定者確保が難しい状態
といったことが言えると思います。
そして、19採用もこの傾向が続くと予想され、18採用以上に厳しく、難しい状況になるのは確実です。
また19採用から経団連が1dayインターンシップの開催を認めたことで、1dayインターンシップを開催する大手企業が急増しています。
大手就活サイトの掲載社数も18採用に対して、何と7割増になっています。
今後、この流れはさらに強くなると思われ、19採用は更に早期化&長期化していくと思います。
そうした中で、ダイレクトリクルーティングの利用等も一層進むとは思いますが、ダイレクトリクルーティングも決して「打ち出の小づち」ではありません。
次回の「2018新卒採用を振り返る(後編)」では、一層厳しくなるであろう19採用の母集団形成の鍵となる1dayインターンシップ等について考えてみたいと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。