「一つのことに集中しろ」は素人
元力士で演歌歌手の増位山太志郎さんは、歌でミリオンセラーも出せば、画家としても二科展で連続入選するほどの腕前だそうです。
この増位山さんのお姿を見ると、ある相撲部屋の親方が言っていた「もし相撲を辞めたとしても、どの世界でもやっていける」という言葉を思い出してしまいます。
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相撲のことを考えていたら絵なんて描けません。絵を描いている時は絵に集中してなければなりません。集中している時は相撲のことは頭にない。それがどれだけリラックスさせることになるか。
人は「余計なことばかりして」とよく言います。「もっと相撲のことを考えろ」と。それは知らない人間、素人が型にはめてそう言うのです。本当の勝負師というのはそんなものではありません。相撲のことばかり思っている人は上には行けないと思う。剣豪・宮本武蔵ではないけれど、絵が好きなら絵を描けばいい。一日中、相撲ばかりだと肩が凝ってしまう。
・・・・・(以上引用)・・・・・
この道一筋というよりかは、他のことに集中すると、明らかに人生には良い影響があります。
私は、ピアニストでもあるのですが、演奏することに過度に神経質になってしまう時期がありました。しかし、今ではボイストレーナーや合唱指導者もやっています。もともと、ピアノや声楽で養った基礎があるからこそできることだったのですが、良いご縁をいただいたと思います。そのご縁をきっかけにして、増位山さんの言う【リラックス】ということなのでしょうか、すべてのことに肩から力が抜けていくような気がしました。変なプライドがなくなり「もうどうにでもなれ」とでも言う、オープンな気持ちで何でもチャレンジできるようになったのです。
増位山さんが
「人気には浮き沈みがある。大事なことは日本の国技といわれる相撲を後世に伝えることで、そのためには歌おうが絵を描こうが本業には影響がないと思うのです」
とおっしゃっています。
相撲界も、一時期の全盛期に比較すると、厳しい状況が続いていますが、ぜひ日本の素晴らしい相撲をまた盛り返していただきたいと願っています。
志があれば、どのような形のアプローチでも、その人なりの生き方で社会に貢献できるのだと思います。