犬と遊んであげているのではなく犬に遊んでもらっている
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ピアノの師匠がトイプードルのタロウくんという犬を飼いはじめました。
最近レッスンに伺ったとき、タロウくんはボール遊びを覚えたのか、さかんにボールを投げることを要求してくるのです。
ボールを投げると、勢いよく走り、くわえて戻ってくる。そして、また「投げて」といわんばかりにボールを押し付けてくる。
その可愛らしい様子に、思わず「遊んであげようか」と、つい夢中になってボールを投げてしまいました。
何度もボールを投げて、それを受けとり、また投げる。
繰り返しているうちに、最初は「私が遊んであげている」という意識であったのが、ある時点から、「タロウくんに遊んでもらっている」と感じるようになってきたのです。これは不思議な感覚でした。
素晴らしい投手は、打者に対して「打たせて取る」「どうやって打たせるか」と言います。
物理的に言うと、フルカウント投げておさえるより、途中で打たせてアウトを取ったほうが球数も少なくてすみます。
また、なぜか良い演奏が出来たときというのは、やはりお客さんや聴き手が素晴らしい場合が多いのです。これもまた演奏させていただいている、という感覚になることがあります。
何かの物事を成したとき、または成そうと思ったとき、「自分がしてやった」「自分の力で成すのだ」と思っていないだろうか。
人との有り難いご縁で今生かされているのではないだろうか。
あらためて人とのご縁を大切にしなくては、と心から思いました。
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