一つの台詞に込められた命を感じる上段者の世界
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2012年10月2日、名俳優大滝秀治さんが亡くなられました。
最近再放送された、俳優の高倉健さんNHKプロフェッショナルの流儀で、印象に残った場面があります。
映画「あなたへ」の撮影現場での出来事。
大滝秀治さんとの芝居で、高倉さんは予想もしなかった感情の高ぶりから涙を流します。
それは、大滝さんの「久しぶりにきらいな海ば見た」という短いセリフ。
高倉さんは、台本を見たとき「なんてつまんないセリフなんだ」と思ったそうですが、大滝さんが言われると、漁師の生活の厳しさや、その土地の歴史が感じられ、この映画全体のテーマをこの一言で表現されていると思ったのだそうです。
たった一つのセリフに魂を込められる大滝さんも素晴らしいですが、そこから言霊を感じる高倉さんの感受性も深いと私は思いました。
そこには、超一流のプロ同士しかわからない、暗黙知の世界が繰り広げられていたのだと私は感じます。
最近感じることなのですが、どんな世界でも、上段者には上段者にしか分からない世界があるのだということです。
逆にいうと、下段者には上段者の世界が見えない。
それを考えると恐ろしいことだと思います。
未熟な自分はいつも謙虚に生きなくてはならない。
そう感じました。
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