本当はもう出来ているのに諦めてしまう 見えないコップ
»
子供の頃、初めて自転車に乗れたときの驚きと感動は今もって忘れません。
最初、補助輪を外したときは、どうしても乗れない。
しばらくは、友達が後ろを押してくれていました。一人のときもヨロヨロと足を付きながら練習していました。
しかし、あるとき押してくれていたと思っていた友達の声が、離れたところから聞こえてきます。
「お~い、乗れてるよ~」
気がつくと自分一人で自転車に乗れていたのです。
直前まで全く乗れていなかったものが、ある一線を越えることで突然できてしまう。
逆上がりができたときも、それは突然訪れました。
クラスで周囲がどんどん出来ている中、最後まで逆上がりができずにいました。
何度も公園に行って練習してましたが、まったく上がれません。
これもある日のこと、鉄棒を中心に体がクルリと回転し、青い空が広がり、人が逆さまに見える瞬間が訪れました。
私は当時、これは魔法ではないかと思いました。
一生懸命やっていると、あるとき神様に認められて魔法をかけてくれるのだと。
しかし今は、これは魔法ではないのだと思っています。
見えないコップに水がどんどん溜まり、コップに水がいっぱいになり、ある日ポロリとしずくがこぼれる。
水がポロリとこぼれるその瞬間まで、コップに溜まっている水は見えないのです。
見えないコップを知らずに、もしかしたら明日できるかもしれない、いや、1分後に出来るかもしれない、というその時に諦めてしまってはいけないのだと思います。
自転車に乗れたとき、逆上がりができたとき、そのほかいろいろなことを思い出しました。
困難があったとしても、見えないコップを感じ続けていきたいですね。
SpecialPR