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ライフワークとしての学びを考えます。

暗譜すると心が羽ばたく

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「こんな長い曲よく覚えられますね」
 
演奏会の後、よく言われる感想の一つです。
 
ピアノソロの場合、試験やコンクールなどでは殆ど暗譜が義務づけられているため、演奏会でも暗譜で弾くケースが多いのです。
 
ソロではなく、他の楽器、声楽とのアンサンブルや伴奏では譜面を置きます。
何度も練習していれば自然と覚えているし、万が一譜めくりが間違えたとしても大きく崩れることはないのですが、いざ譜面をはずして、すべて暗譜で弾いてみなさい、と言われれば、やはり怖さを感じます。
 
「暗譜で弾く」という覚悟が必要なのでしょう。
また、「この作品は暗譜する」と、まず腹決めしないと、本当には頭に入ってこないものです。
 
2012年1月14日、合唱団コール・リバティストでは、15日に鎌倉芸術館にて中田喜直作曲の「都会」を演奏するため、マエストロが来ての練習となりました。
 
暗譜の予定だったのですが、微妙に間に合わない雰囲気もあり、マエストロは「明日は譜面を見て歌う」という判断をなさいました。
 
実際、譜面をはずして歌うことを試してみたのですが、そのほうが断然音は良いのです。なので、もしミスがあったとしても譜面をはずして良い音で歌うか、それとも確実性と安心感から譜面を持つか、どちらを迷うところでした。
 
フランス語では「心で弾く」というように、暗譜すると心が自由になり、音楽がさらに羽ばたくようになります。それは、お芝居でいう、セリフを覚えるのと同じなのですね。しかし、確実に覚えたと思っても、一瞬の魔がさしてポッカリ穴があくこともあります。暗譜は常にその不安と隣り合わせなのです。
 
15日の演奏会では、他の合唱団とも合同で演奏したのですが、ある上手な女声合唱団は難曲をしっかり暗譜で歌っていたのには感心しました。
 
「よく覚えて歌われましたね」
と伺うと、
 
「昨日まで覚えてなくて。アンサンブルが合うかどうかって雰囲気だったわよねぇ」と笑いながらおっしゃいます。
 
でも、さすがに本番での音楽への没入と音の良さは、暗譜ならではのものでした。もし暗譜でなかったらもう少し冷静な演奏だったかもしれません。そのパッションに聴衆も大歓声でした。
 
私たちの合唱団も、次はぜひ暗譜にさせてあげたいなあ、と心から思いました。
 
「暗譜する」と覚悟してからが本当の勉強かな、と思っています。
私は、アマチュア合唱のパッションは「身体ごと丸々覚える」とでもいうような暗譜から来るのではないか、と思っているほどです。
 
でも、「都会」の演奏自体は、今までの中では最高の演奏になったと思います。見事でした。
さらに深めたいですね。
 
皆さん、よく頑張ったと思います。お疲れ様でした!

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