シンプルだからこそ力量の差が分かる
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一昨日から連続で取り上げている指揮者ブリュッヘンと「18世紀オーケストラ」ですが、ブリュッヘンはもともとはブロックフルーテという古い時代の縦笛の名手でした。
この楽器、リコーダーとも言われています。
リコーダーだったら、誰でも演奏できる簡単な楽器だと思われがちです。
私もそう思っていました。
音楽高校に入学したばかりの頃の話です。
廊下でよくリコーダーを練習している音大生がいました。
「なんで中学校で教わるリコーダーをここで吹いているんだろう。」と不思議に思っていたのです。
その後、古楽器に興味のある友人に誘われ、古楽器の授業を受けて、これがブロック・フルーテだということを知りました。
当時、モダン楽器(現代の楽器)よりオリジナル楽器(古楽器)のほうがレベルが低いのでは、という間違った認識があることも聞きました。
特に、リコーダーは小学校低学年でも吹くことができることから、日本ではおもちゃ楽器のように取り扱われている傾向もあります。
しかし、オリジナル楽器のようなシンプルな形状の楽器は、演奏するのがとても難しいのです。
音程を正確に保つことが難しく、プロとの力量差が歴然と現れる楽器でもあります。
古楽器の授業で
「古い楽器だからこそ演奏するのは高度な技術が必要なんです」
と演奏家でもある先生が強く語っていたのをよく覚えています。
今日は、そのブリュッヘンのブロックフルーテの演奏で、テレマン作曲のファンタジーを聴いてみることにしましょうか。
Telemann - fantasie nr. 3
心に染み入る暖かい魔法のような音。生き生きとしたリズム。
リコーダーってこんなに表現力のある楽器だったのか、というのを改めて感じます。
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