だれでもできるプレゼン作戦 「始めの5分に命をかけろ ミッションは一つだ」 #asacafestudy
コンサートでは、演奏し始めの第一曲の、しかも最初の30秒で決まります。だから、どんな曲を演奏するか慎重に選択しなければなりません。
コンクールなどの勝ち負けがつくような場での演奏は、とにかく最初のワンフレーズ。最初の一ページ。
審査員はここで「聴くか聴かないか」判断するといわれています。もっと極端なことを言うと、ステージを歩いてくる姿でほとんどが分かるとまで言われているほどです。
特に予選の場合は、たくさんの人を聴かなくてはならないので、「おおっ?」と思わせないと最後まで聴いてもらえません。
出だしの部分は、他のどんな難所よりも、何倍もの時間をかけて練習しなければならない。最初がよければ、途中小さなミスがあっても良い評価につながる場合が多いようです。
「終わりよければ全てよし」ということわざがありますが、演奏の場合はあてはあらないように思います。
2011年5月11日に、第19回朝カフェ次世代研究会、大塚雅文さんの講演「なぜ大部分のプレゼンはつまらないのか」を聴いてきました。
最初の出だしはこう。
「はい、なぜ大部分のプレゼンはつまらないのか。タイトルにして、しょっぱなからあくびされたら大変なことになりますから、まず始める前にちょっとした目覚ましの意味をこめて、簡単なクイズをやりたいなと思います。」
普通なら自己紹介したり、なぜ今日来たのか、など説明があるのですが、そうではありません。しかも、突然内容に直結するクイズから開始して「なんだろう?」と思わせる。
これは時代を先に行く新しいプレゼンスタイルだと思いました。
人間の脳は飽きやすく、常に面白く刺激のあるものを求めているのですね。最初に、何か「おおっ?」というものを脳内にインジェクションする。
そうすれば、脳が喜び、オーディエンスはのってくるのです。のってくれば後は大いに楽しんでもらうためにスムーズに流すだけ。ここのところを外すと、せっかく楽しいものをふんだんに用意していても効果の50%も発揮できないでしょう。
だから、最初はとにかく無駄を一切省き、すぐにコアなメッセージに入ること。
全員、講師の名前も講演内容もわかってきているはず。特に、こんな朝早く来る方々が何も考えずに来るわけがありません。きっぱりと切り捨ててシンプルに伝えるエッセンスのみを抽出するわけです。
そして絶対に「コアなメッセージは一つ」
「へ~っ、一つでいいんだ。いくつも考えなくていいし、それなら簡単だ」と思ったら、大間違い。これは本当に難しい。
気がつかないうちに、あれも言いたい(あれも知っている)、これも言いたい(これも知っている)、いろいろ教えてあげたい(こんなに知っててすごいでしょう)となってしまうのです。
自分は知っているから頭が整理できるのですが、聴き手は初めて聴く話なのです。消化不良になっていまい、帰り道「今日は一体なんの話だっけ?」となってしまいます。
一つにしぼるためには、強い意志の力が必要だと思います。そして最後までそこから1ミリでもそれてはいけないのです。
大塚さんは、スピード感とリズム感、そしてキレのある講演を展開していました。現代的でザッハリッヒ。そのためにある秘密兵器を使用していることが分かりました。 「発表者用ツール」です。スライドとメモ書き、そして前後のスライドを自分だけが見られるパソコンを手元においていたのですね。これならスムーズに流れオーディエンスを飽きさせません。
斬新なアイデアがどんどん出てくるのは、普段から自分をインスピレーションさせることを常に考えているからだそう。
既存の枠や組織にはまらず、一匹狼的雰囲気で群れないアーティストのような香を感じます。いや、どこにも属さないからこそ自由な発想力を殺さないでいらっしゃるのではないでしょうか。今後ピンで活躍する人だと思います。