テレビ嫌いが欲しくなる液晶テレビ
どちらかというとテレビはあまりつけません。
もともとが、なるべく音のない空間にいたいという気持ちがあり、テレビから流れる音や映像で疲れてしまうのです。
特にこの頃の液晶テレビは、画質がクリアーになって良いのですが、さらに色も明るく華やかになっているような気がします。
そういうわけで、なんとなくテレビを買い換えずにいて、いまだにブラウン管テレビです。右上にしっかり「アナログ」と出ています。
そんな折、あるカフェで変わったテレビを見かけました。
デザインも洗練されているのですが、音に引き付けられました。
物が落ちる音、風にざわめく木々の音にさえ奥行きがあるのです。
例えば、スプーンが落ちたときの「カラ~ンッ・・・・・」という音の残響まで雰囲気があります。
画像の色も自然です。
一見地味ですが、現実の色はこんな感じだと思います。
窓から風景を眺めているようで目が疲れず、ずっと見ていたいと思いました。
どこのメーカーさんなのか、カフェに聞いてみました。
ナナオ株式会社のEIZO というテレビだそうです。
早速、量販店に見に行きますが、ありません。
店員さんが言うには「このメーカーさんは一般の量販店にはおいてません」ということです。
調べてみたところ、銀座にショールームがあるとのことで行って来ました。
二階のフロアいっぱいにテレビがならべてあります。
そのときちょうど、バイオリンの演奏が流れていました。
とにかく音が違いました。
木の楽器が奏でている音だということがよく分かります。
弓の馬の毛が弦にハッシとあたる音までリアルに響き、それが雑音に聴こえないのです。
色彩も温かみがあり、ナチュラルなのですが、大変クリアーに再現されています。
見ていて心地よいのです。
説明ですと、音が良いのは国内有名店のスピーカーを使用しているからとのこと。メーカー名は教えてくれませんでした。
実際、音量を最大近くまでどんどん上げてもらいましたが、音が割れないのには驚きました。
テレビのサイズが大きい方がスピーカーも大きくなるので、音がさらに良くなるそうです。
とても良いのですが、しかし、気になるのはお値段です。
今、他のメーカーさんだったら、同じ大きさで半額近くで買えると思います。
なぜ、量販店で置かないのか聞いてみました。
「デザインが特殊なので、他のテレビとはかなり異質な感じがします。どちらかというと家具的にイメージして選んでいただきたいのです。こちら以外ですと、家具屋さんで販売する会社の方針になっています。横浜方面ですとアクタス横浜、アクタス港北にもあります。」
洗練されていますが、確かにいまどきのテレビらしくないデザインです。
我こそはと輝くような色彩のテレビ達の横だと地味だし、ガヤガヤした中ではEIZOの音の本質は聴きわけられそうにありません。
もしかしたら不利な条件の市場に進出する意味がないと判断したのではないかな、と想像しました。
ショールームでは、分かる人だけが買ってくれればいいという感じで、強く勧めることもなく、とても親切に対応してくださいました。
私が気にいったのが伝わったのか、とても嬉しそうでした。
ただ、やはり高価なものなので、購入までもう少し検討する必要がありそうです。
この時代に価格も妥協せず頑固に守り通し、あえて皆と同じフィールドで勝負しない、自信と職人気質のある会社だと思いました。