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オープンソースに舵を切るEMCの選択

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 さて、今回取材しているEMC World 2015のトピックとしては、XtremIOを初めとするいくつかのストレージ製品の新版、新たなコンバージドインフラのVxRackがある。そしてもう1つ大きなテーマとなっていたのがオープンソースへの取り組みだろう。

 今回のイベントの前には、EMCのFederationの1つPivotal社が、同社のGreenPlumをオープンソース化することなどを発表している、今回は本丸のEMCでもViPRというストレージのコントローラをオープンソース化するプロジェクト「CoprHD」を発表した。こちらは完全なオープンソースとして提供して、ViPRは商用版として引き続きビジネスを継続するという形態となる。さらには、買収したCloudscalingの100%オープンソースのOpen Cloud Systemをベースにした「Project Caspian」についても発表した。

 今回の試みがEMCとしてはオープンソースを活用する最初の試みだと言う。この試みの結果を見ながらさらにオープンソースへの取り組みを加速するとのこと。なぜいまオープンソースなのか。EMCが進める第3のプラットフォームの世界の革新の多くはオープンソースの世界から生まれるであろうとの判断があるようだ。そして、この時代のスピード感に対応できるのも、オープンソースのコミュニティの力が必要だと。

 そしてビジネスのターゲットを、開発者にシフトしている点も見逃せない。今後のインフラの選択、アプリケーション実行環境の選択で力を持つのは開発者だと言う。なので、開発者にEMCも近づく必要があり、そのためにはオープンソース化が必然だと言うわけだ。

 オープンソース化ではないが、同社の非常にユニークなソフトウェア・デファインド・ストレージ製品であるScaleIOも、開発者向けに無制限、無償での提供を開始する。本番環境では製品版を使ってもらうわけだが、とにかく開発者に制限なく使ってもらうのが、これからのビジネス拡大には必要だと判断したわけだ。

 EMCというと独自性こそが売りのイメージがある。なのでオープンソース化とはある意味対局に位置していたベンダーとも言えるだろう。今回のオープンソースへの歩み寄りや、そもそもオープンソースをベースにしたITビジネスを行っているベンダーがいまや多数存在する。EMCのこの判断は必然だったとも言える。

 ただ判断の時期は早かったのか遅かったのか。それはCoprHDがどうコミュニティに受け入れられ、さらなる発展を見せるかで証明されるだろう。個人的には若干出遅れたかなとは思うけど、十分にキャッチアップできる体力と能力、そして財力もEMCにはあるだろうと思うところだ。来年のEMC Worldでは、さらに多くのオープンソース化が見られるのではと期待したい。

<写真はCloudscalingのCOOだったランディ・バイアス氏。今はEMCのエマージングテクノロジー部門のVPとして、OpenStackとオープンソースのビジネスに関わっている。こういった人材がEMCのオープンソースへの取り組みを加速させている。>

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