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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

もうしばらくは「歯を食いしばって電子書籍をやる」

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 なんだか電子書籍については、Amazonの対応は遅々として進まず。Apple iBooks Storeも、いまだ日本語電子書籍の販売開始の噂は聞こえてこない。

 今朝の朝日新聞には学研、主婦の友など40社がAmazonでの配信に合意との報道もなされていたが、信じていいものやら。ここまで何度も裏切られているので、なんだか半信半疑だ。こうなれば、日本の電子書籍市場での期待の星は、じつは楽天なのではと思ったりもしている。

 とはいう状況だけれど、佐々木さんと進めているeBookProのプロジェクトでは、粛々と電子書籍の制作にチャレンジしている。iOS用のアプリとして提供している『クラウドおかあさん』の縦書きEPUB版を制作してみて、現在いろいろと検証中だ。紀伊國屋書店が提供しているKinoppyというアプリを使うと、AndroidでもiPhoneやiPadでも、かなりいい感じに縦書きで表示でき、それなりに読みやすいことが確認できたところ。縦中横なんかもきちんと再現されている。

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■こちらがKinoppyで縦書き日本語EPUBを表示した様子

 ところで、同じEPUBファイルが、じつはSONY Readerでもかなりきれいに表示できることも確認できた。ソニーからは正式にEPUB 3.0に対応というアナウンスはなかったかと思うけれど、先日EPUB形式の漫画に対応するアップデートがあり、どうやらその際にある程度の日本語縦書き表示にも対応していたようだ。これくらい表示できれば、とりあえず文字中心の書籍であれば十分に行けそうだ。各リーダー環境でエラーがなく、それなりに表示できるようにするためのタグの調整など、もう少し調査を続けて、近々いくつか縦書きEPUBの電子書籍をリリースしたいと考えている。ちなみに、iOS上のiBooksでは、同じファイルはまったく正常に表示されない(横書き表示にもならない)。

 いまのところ、DRM付きでの提供ができないので、コピーコントロールした形での販売は難しい。けれど、DRMなしで良ければAmazonやAppleを待たずに、技術的にというか読書環境的にはEPUB書籍の販売の道もやっと開けてきたかなと思うところ。夏に開催される国際電子出版EXPOあたりをターゲットに、他にも縦書きEPUB用のリーダーが出てきそうだけれど、それまで待たずにスタートしても大丈夫かなという手応えは感じている。

 現状は、どうしても紙の書籍の置き換えのところから抜け出せていない面もあるので、我々eBookProとしては、やはり、これに電子書籍ならではの要素を取り込んで、付加価値を提供していかねばというのが本音。なので固定EPUBの活用やiBook Authorでのインタラクティブな電子書籍の制作、画像認識型のAR テクノロジーとの連携なども、そのためのチャレンジではある。そういった工夫をしたからといって、電子書籍が数多く売れるわけではなく、やっぱりコンテンツそのものの力が一番大きい。

 さまざまな工夫は、そのコンテンツの力を補完するものでしかない。なので、良いコンテンツとの出会いというのも大事。偶然ではあるが、JAZZ JAPANMUSICAといった音楽雑誌の電子化にたて続けに携わってきたこともあるので、この領域はさらに拡大したい。さらには、もともと得意な分野であるIT関連も追いかけ続ける予定。インディーズならではの遊び心たくさんの電子書籍を、いまは粛々とやっていくしかないのだろうなぁ。なので、儲からないけど、もうしばらくは、「歯を食いしばって電子書籍をやる」。実際にやっているからこそ、見えてくるものがあるからね。

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