【書評】ビッグデータ ビジネスの時代
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エンタープライズITの世界だと、今年の流行語はなんといっても「ビッグデータ」であろう。
クラウドも相変わらず数多く使われているけれど、すでに定着した感がある。そこにいくとビッグデータは定義もまだ曖昧、どうとでも捉えらることができ、新規参入の製品やサービスの売り文句のあちこちにこのビックデータが鏤められている情況が今だ。サイズはどれくらいならビッグデータと呼べるのか、Hadoopは必須か、FacebookやTwitterなどと関連しないとビッグデータとは言えないのか。あるいは、センサーのようなデバイスからリアルタイムに取得できるデータの活用こそが、ビッグデータなのか。いまのところは、これが我が社の「ビッグデータ戦略」ですとぶち上げれば、その会社がビッグデータソリューションのプレイヤーになれるという感じだ。
そんな中、じつは先日から「ビッグデータ1Topi」でビッグデータに関するさまざまな話題についてつぶやかせてもらっている。いまのところもうすぐ100つぶやきくらい。もうちょっとペースを上げていきたいところなのだが、思っていた以上に新しい「ビッグデータ」ネタが次々とネット上にあがってくるという状況にはない。意外とネタ探しに苦労していたりも。
そういった活動の中で紹介してもらったの以下の書籍。
最近のビッグデータに関するメッセージをまとめたというよりも、もっと地に足の付いたビッグデータのビジネスに関する解説書といった感じ。ちなみに目次はこんな感じ。
第1章 ビッグデータビジネスとは何か? 2010年代は「ビッグデータビジネス」の時代 ビッグデータとは何か? 4強による巨大データ争奪戦 利用サイド事業者がビッグデータビジネスに取り組むべき理由 なぜ支援サイド事業者はビッグデータビジネスに乗り出したのか? ビッグデータビジネス実現のための課題 ビッグデータビジネスの将来像
第2章 ビッグデータビジネスの効用と活用事例 利用サイド事業者におけるビッグデータビジネスの効用 データ活用の深化に伴う効用と5つ事例群 「リアルタイム性」と「フィードバック先」による効用の整理と解釈 ビッグデータの活用を促すサービスモデル/ビジネスモデル
第3章 主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術 支援サイド事業者における主要陣営の戦略 ビッグデータを「取得・生成」する ビッグデータを「蓄積」する ビッグデータを「処理・分析」する
第4章 ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因 最大の阻害要因は人材不足 プライバシ・機密情報の利用に関する課題と対策 データの精度の悪さや誤用・不適切利用に起因する課題
第5章 ビッグデータビジネスの将来予測 利用サイド事業者におけるビッグデータビジネスの将来予測 支援サイド事業者におけるビッグデータビジネスの今後
ビッグデータビジネスとは何かはもちろん、技術的な要素についての解説まできちんと網羅している。ためになるなと私が思ったのが、事例がきちんと抑えられていること。ベンダーなりがこう言っているとかだけでなく、現実にこういうところがビッグビジネスなのだよというのを事例を基に解説してくれているので、これからビッグデータビジネスに手探りで参入するような企業にとってはおおいに参考になるのではないだろうか。 総ページ数は250ページほど、文字も結構細かめで情報はぎっちり詰まっている感じ。システムインテグレータの商機なんて話しも出ているので、ビッグデータに何かを見いだしたいともがいているあなたなら、一度手に取ってみる価値ありだと思う。
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