VMware vs CitrixでEMCはどう動く
VMwareがデスクトップ仮想化「Virtual Desktop Infrastructure」製品の拡張を発表したとのこと。まさにこのあたりは、先日XenSourceを買収したCitrixとバッティングする領域だ。
デスクトップの仮想化は、サーバー仮想化よりは話題になっていないかもしれない。しかしながら、情報漏洩対策や数多くあるクライアントPC管理の手間の軽減などの目的で、とくに日本では注目されているソリューションだという。マイクロソフトの担当者に以前話を聞いた際には、Windows上でLinuxを動かすことよりも、日本ではむしろデスクトップ環境の仮想化のほうが関心が高いのではとのことだった。
もともとこの分野では、Citrixに実績がある。いわゆるサーバー上のWindowsの画面を配信するというやつだ。デスクトップの仮想化ではなくこれをアプリケーションの仮想化などとも呼ぶので、ユーザーはちょっと混乱するかもしれない。Citrixのサイトの説明では以下のように書いてある。
アプリケーションの仮想化の第一ステップとしては、クライアントデバイスにアプリケーションをインストールせずに、ユーザーインターフェイスを提供すること
VMwareには、デスクトップを仮想化する部分は以前からあったが、それを配信する仕組みは自前ではなかった。これを新たに「自社のデスクトップ転送プロトコル」として提供するとのことだ。両者とも、これでラインナップ的には同等のものをもつことになるのだろう(もちろんそれぞれに特徴はあるのだと思うが)。
デスクトップの仮想化については、VMwareがCitrixを後追いかけるような形か。とはいえ、最近とみに注目を浴びている仮想化技術を使った災害対策の領域では、VMwareが一歩も二歩もリードしているように思う。ここで重要となるのは、ストレージのレプリケーション機能だったりするので、EMCとの強い関係を築けるVMwareはさらに有利かもしれない。とはいえ、VMwareはこの分野で大々的にEMCと連携しますというメッセージを出してはしていない。むしろ、各ストレージベンダーと協力していくという。EMCとの連携は、エンタープライズ領域での、最後の切り札に残してあるのだろうか。
もう1つの仮想化のプレイヤーであるマイクロソフトは、サーバー仮想化が本格的に導入されるWindows Server 2008の出荷が年内から2008年2月にスリップし、また半歩(半歩はないか)出遅れる。マイクロソフトが出遅れるほど、Citrixとの関係強化が巷でさらに取り沙汰されることになるのだろう。
マイクロソフトがWindowsというOSにこだわる以上、仮想化の機能はその付属であり付加価値である。そういう状況ではVmwareやXenSourceとの距離を縮めるのは難しい。仮想化の部分はまだまだビジネスとしては小さいのかもしれないが、うかうかしているといつのまにかビジネスの状況が大きく変わっているかもしれない。