IBMerの陥る落とし穴
めんそ~れ!
最近起業して会社を設立して、つくづく思い起こすのは、10数年前に先輩から言われた言葉です。
当時の私は、バリバリのSEから、営業に変わって、すぐに営業課長に昇進したころなので、15~6年前だったと思います。当時は自分でもエリートコースに乗っているなと感じていたので、気にもならなかったのですが、今思えばまさにそのとおりだと感じています。
その先輩は、SEのころ一緒に仕事をして鍛え上げてくれた人だったのですが、IBMからトラバーユして、ある企業の部長になっていました。今は、さらにトラバーユを続け外資系の企業の社長をやっています。
その先輩が、IBM時代に同じチームの私の6年後輩のSEのY君に仕事をやらせるとアナだらけで、もうちょっとどうにかならないのかと私によく愚痴っていました。
その先輩がトラバーユした後で、わたしに「お前な、IBMの社員はやっぱり優秀だということが、外に出て初めてよくわかった。あのなんもできないと思っていたY君が、もしうちの会社にきたらトップクラスや」といいました。当時の私は、「ふ~ん、そうなんですか。」との反応だったと思います。
会社を設立して、若手の社員を雇って、今プロジェクトを行っているのですが、進捗管理をしようとしても、進捗状況がわかりません。
プロジェクトの作業項目で要望が出てきたので、その要望は全体のプロジェクトから考えるとどういう位置づけなのか聞いても、プロジェクトでの位置づけがわかりません。
進捗管理表はどうなっているんだろう?
WBS作成してないのかなぁ?
こんなに言ってるのにどうして作らないのやろ?
まったくわかりませんでした。
幾日か経って、「はっ」と気づきました。ひょっとしたら、この人たちは「進捗管理表」や「WBS」なんて、作ったことがないのではないか。
朝礼が終わって、ミーティングに2人を呼んで、おそるおそる聞いてみたところ、やっぱりそうでした。「進捗管理表」も「WBS」も作ったことがないどころか、聞いたこともないということでした。
「そうだった、この人たちはIBMのように1年近く研修を受けて、そういう世界にいる人たちと違うんだ」、このとき15~6年前先輩が言った言葉を思い出しました。
当社の2名の社員は、今すごくよくやってくれていて、私がいろいろと教えるとすごい勢いで吸収してくれています。そういう意味では、優秀な社員なのですが、残念ながら今まで教育の機会に恵まれていなかったのです。それをふっと忘れて、IBM時代と同じ感覚に陥ってしまったのですね。
私は、IBM以外の他の会社を知らないのでわかりませんので「IBMerの陥る落とし穴」という題名にしてしまいましたが、富士通でも日立でも日電でも、世の大企業しか知らないと同じようなことに陥っているのかもしれません。
IBM時代には、他の企業を経験してきた同僚から、「IBMの常識は、世間の非常識」だから、気をつけなさいといわれたこともありました。最近ちょっとずつわかってきていたつもりでしたが、まだまだですね。