高齢者や聴覚障がい者に役立つ「字幕電話」
めんそ~れ!
今年も厚生労働省の障害者自立支援機器等開発促進事業の採択を受けて、「字幕電話」の実証実験を開始しております。
米国では、聴覚障がい者向けに、国の支援の元、3種類の電話サービスが提供されております。
1つ目が、テレビ電話を使って、聴覚障がい者が手話でオペレータに電話したい内容を伝えて、オペレーターがその内容で相手先に電話をするサービスです。「手話リレー」と言われています。
2つ目が、チャットを使って、聴覚障がい者が文字でオペレータに電話したい内容を伝えて、オペレーターがその内容で相手先に電話をするサービスです。「文字リレー」と言われています。
3つ目が、話をできるが聞くことができない高齢者や聴覚障がい者が、話の内容は直接本人が相手先に電話で伝えるが、返答をオペレーターが音声から文字に換えて、聴覚障害者に伝えるサービスです。日本語名称がなかったので「字幕電話」と名付けました。
米国では、総務省の組織であるFCCがユニバーサル料金と同じように電話番号ごとに課金をして、徴収したお金を事業者に対し聴覚障がい者の利用実績に基づき支払って運営しております。
日本では、残念ながら、まだ、国の正式なサービスとなっていないために、各事業者が独自に運営しております。
その中でも、日本財団は、期限付きではありますが、無料で「手話リレー」と「文字リレー」のサービスを提供しております。
しかしながら、「字幕電話」については、株式会社アイセック・ジャパンが実証実験を昨年から開始したところで、他の事業者によるサービスは行われておりません。
では、日本の聴覚障がい者の現状を考えてみると、障がい者手帳を持つ聴覚障がい者は32万4千人と言われております。
一般の人は、聴覚障がい者のコミュニケーション手段は「手話」と思いがちで、すべての聴覚障がい者は手話が使えると思っているようですが、実際に手話が理解できる人は6~7万人にすぎないと言われております。
したがって、1つ目の「手話リレー」の利用者は多くても6~7万人と思われます。
一方、残りの26万人ほどの聴覚障がい者のコミュニケーション手段というと「文字」ということになりますので、「文字リレー」の利用者は、26万人以上と期待できます。
しかしながら、高齢化社会の進行に伴い、障がい者手帳は持っていないが「聞え」に不自由を感じている人が非常に増えてきております。
日本補聴器工業会の調査によると、2012年にはすでに1390万人のかたが、「聞え」に不自由を感じているという結果が出ております。
これらの方の大部分は「手話」はできませんが、もちろん自分で話すことができます。また、電話の便利さも十分に理解しております。
したがって、「字幕電話」のようなサービスが待ち望まれておりました。
実際に、昨年の実証実験からも「活動範囲が広がった」とか「メールと比べて10倍以上便利だ」との声をいただいております。
高齢者や話せる聴覚障がい者には、ぜひお使いいただいて、いろいろとご意見をいただきたいものです。
現在はまだ、利用できる端末等に制約はありますが、モニターご希望の方は、下記のURLからお申し込みください。
http://www.iscecj.co.jp/jimaku.html
また、もう少し詳しくお知りになりたい方は、字幕電話のFacebookにビデオなどもありますので、そちらでご確認ください。