最初の面談で、「お客様は何でお困りなのか」仮説を立て、ご提案を用意する
日本IBMの大先輩であり、オルタナブロガーとして「レジェンド営業塾」を書いておられる竹内雄司さんのエントリー「013そのプレゼン&デモでお客さんの心を捉えることできますか?」を拝読しました。
①お客様の事前期待は何か?
これが一番大事であり、この掘り下げ次第で準備の質が決まります。
「まったく、その通り」と思いました。
竹内さんのこのエントリーは「RFPへの営業マンの対応」という観点で書かれています。
一方でRFPがない状況で、お客様と最初の面談がある方も多いと思います。
かく言う私もRFPをいただくことはなく、オフィシャルサイトからのお客様のご依頼で最初の面談をすることが多いので、自分の経験で考えてみました。
私の場合、お客様と最初に面談する際には、「そもそも何でお困りになって、依頼されたのだろう?」ということを考えます。
事前にメールなどでお客様に直接お伺いすることも多いのですが、多くの場合、お客様ご自身も困っていて問題が整理しておられないことも多いのです。
そこで事前資料を読み込んだり、お客様のホームページを見たりして、「恐らく、こういうことで困っているのではないか?」と仮説を立てます。
IR情報があれば真っ先に丹念に読み込みますが、お客様が非公開企業であることも多いので、そんな場合は一般公開されているホームページやパンフレット、あるいはインターネット上の記事を読みます。
たとえば、お客様の会社ホームページに掲載されている、「当社の強み」が、具体的ではなく抽象的なことがよくあります。たとえば「高品質なサービス供」、「丁寧なフォロー」、「迅速な対応」といった言葉がある場合です。
裏返すと、自社の強みが十分に発揮できておらず、その結果、差別化できずに価格勝負に陥るジレンマを抱えておられる可能性もあるのです。
そこで、「このお客様の業務の場合、どのようにバリュープロポジション策定をご支援すればよいか」を仮説として考えます。たとえば、想定される潜在的な強みは何か、類似の状況にあって強みを発揮している事例(他業界も含め)はあるのか、本来の対象のお客様は誰になるのか、などを考え、できるだけお客様の業務に沿った内容の提案を仮説として考え、準備した上で、最初の面談に臨みます。
もし仮説が間違っていても、土台があることで、面談の中でどこが間違っているかを把握できれば、その場で修正提案が可能になります。
こうして多くの場合、その後の仕事に繋がっていきます。
ここまでは、お客様からのお問い合わせがあって最初の面談がセットされるケースで書きました。
実際の営業活動では、逆にこちらから最初の面談を申し入れするケースも多いと思います。
むしろこの方が、最初に仮説を作ることが必須です。お客様が必要としているのは、商品の説明ではなく、自分の課題解決だからです。(お客様の立場で「当社の素晴らしい商品を説明するお時間を下さい」とお願いされても、自分の貴重な時間を割く人は少ないと思います)
インターネットが普及している現在、多くの情報はすぐに入手できます。
情報が溢れている現代だからこそ、溢れている情報からエッセンスを整理・抽出し、お客様の事前期待を想定し、それを上回る提案を仮説として準備し、実際に目の前のお客様に検証する仮説検証力が、営業の現場でモノを言うのだと思います。
そのようにエッセンスを抽出し仮説を構築する力は、日々の仮説検証を愚直に繰り返し、学んでいくことで培われていきます。
一見難しいように思えますが、モノは考えようです。今日、今から始めればいいのですから、実は簡単、とも言えます。そして習慣化できれば、3年後には必ず大きな成果が上がっているはずです。