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画期的なソニーの曲面CMOSセンサー。デジカメ市場は劇的に変わるか?

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2014年7月3日の日経産業新聞で、「ソニーが曲面CMOSセンサーを開発した」という記事が掲載されています。

生物模倣で大進化、デジカメの「目」 ソニーの挑戦

 

1839年にダゲールが「ダゲレオタイプ」を発表して以来、カメラは常に平面上に画像を投影していました。かつての銀塩カメラのフィルムも平面。銀塩カメラの構造を踏襲した現代のデジカメもイメージセンサーは平面です。

 

一方で同じ役目を果たす人間の眼球は、球状です。

眼球では、レンズの反対側にある網膜上に画像が映され、この網膜上にある網膜細胞が光を感知し、視神経がこの画像情報を脳に伝えることで、人は画像を認識し、「モノが見え」ます。

「網膜=イメージセンサー」ですが、網膜は球状、イメージセンサーは平面。

実は従来型カメラの場合、一番シャープに写るのは画像の中心部分。画像周辺部に行くほど、画像が流れ、画質が低下します。これが「像面湾曲収差」と呼ばれる現象です。イメージセンサーが平面だと、中央部と比べて周辺部はレンズまでの距離が違います。だからこの現象が起こるのですね。

しかし眼球の場合、網膜上のどの部分もレンズから等距離になるので、この画質低下は起こりません。

「この眼球に見習って、カメラのイメージセンサーも曲面上にデザインすればいい」とソニーの研究者は考えたようですね。

 

カメラが誕生してから175年、画像投影部分が曲面になるのは画期的なこと。新聞によると、性能上も大きなメリットがあるそうです。

■レンズを簡略化可能。スマホ用カメラで、レンズ枚数を5枚から3枚に減らすことで、小型・軽量化、低コスト化が図れる。(湾曲収差を修正するレンズ設計が不要になるためのようです)

■シリコンの電気特性が変化し、ノイズの原因となる暗電流を1/5に低減でき、暗い場所でもノイズの少ない画像を撮影できる

■像面湾曲収差がなくなるので、明るいレンズを使っても画質が維持できる。(明るいと被写界深度が浅くなることもあり像面湾曲収差が強くなる)

■周辺部が暗く写る「周辺減光」がなくなる

ソニーでは、既にさまざまな曲面CMOSセンサーを試作済とのこと。

この曲面CMOS技術を活用することで、今後デジカメがさらに大きく進化する可能性も出てきました。

たとえばスマホのデジカメ機能がさらに劇的に向上し、現在苦境にあるコンパクトデジカメ市場は消滅してしまうかもしれません。

 

2013年時点で、ソニーは世界のCMOS市場で33%のシェアを持っています。2009年には「裏面照射型CMOSイメージセンサー」で高感度化も実現しました。

ソニーの今後の技術開発に期待したいところです。

 

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