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ティーザー広告で、世の中の評判がどうなるかを考えてみた

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昨日のエントリーでGodzillaのティーザー広告について書きました。そこで改めて、ティーザー広告がその商品やサービスの世の中での評判(社会的評価)に与える効果について考えてみました。

まず「社会的な評価」は、下記の式で定義します。

 社会的な評価 = 一人一人の顧客満足 × 顧客数

そして上記のうち、「一人の顧客満足」は、下記で定義します。

 顧客満足 = 知覚価値 ー 事前期待値

昨日も書いたように、「ティーザー」とは「じらし」という意味です。「ティーザー広告」とは、商品発表前に、商品そのものは見せず、少しずつ見せてじらしながら顧客の興味を高めていく手法です。

ティーザー広告は、顧客の事前期待値を上げてしまう効果があります。先ほどの通り、

 顧客満足 = 知覚価値 ー 事前期待値

なので、事前期待値が上がり過ぎると顧客満足は下がります。期待値が知覚価値を超えてしまったりすると、「期待を裏切られた」となる訳です。

これを絵にすると、こんな感じでしょうか?

ピンクの面積(重なり含む)が、ティーザー広告を行わない場合の社会的な評価、黄色の面積(重なり含む)が、ティーザー広告を行った場合の社会的な評価です。

Photo

 
このように考えると、ティーザー広告で考えるべきは、「いかに事前期待値を過度に上げすぎず、顧客リーチを広げるか」ということではないかと思います。

ただ最近は、消費者はティーザーという手法がストレスや反感を消費者に与えているとも言われています。実施にあたっては注意も必要ですし、誇大広告は論外です。

 

たとえば「予告編ですごく期待したのに、残念だった」という映画は、過度に期待を煽りすぎた予告編で、事前期待値を上げ過ぎた結果です。

「お客さんが沢山来て売上が上がればOK」と考える方もおられるかもしれませんが、このようなことを繰り返して「残念」と感じた方が増えることは、長期的に考えると、決して望ましい結果にはならないはずです。

今回のGodzilla予告編のように、お客さんも楽しめるようなティーザー広告が望ましいのでしょうね。

(注:正確に言えば、映画のようなサービス財の場合は商品理解・支出・消費のタイミングが同じタイミングなので、商品理解の後に支出・消費が行われるカメラや車といった非サービス財のティーザー広告とは若干性格が異なります)

 

私も、常にお客様の期待を上回るようにしたい、と改めて思います。

 

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