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登場わずか1年で日本のコーヒー消費量1%を占めた、「セブンカフェ」の凄さ

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セブンイレブン(以下、セブン)の「セブンカフェ」。ご存じの通り、2013年の日経MJヒット商品番付で、東の正横綱に選ばれました。ネットでも「コスパ凄い」「普通に美味しい」と、高く評価されています。

私もいただきました。本当に100円(Sサイズ)とは思えないほど、香り豊かで美味しいですね。

 

セブンカフェの凄さについては、既に色々なメディアで報道されていますが、まとめてみました。

■年間4.5億杯を販売

2013年1月の導入から販売量はうなぎのぼり。16,000のセブン全店へマシン設置完了した9月には、2億杯を突破。

当初の目標は、1日あたり1店舗60杯で年間3億杯でしたが、直近では約95杯。年間4.5億杯の販売を見込んでいるとのこと。(*1)

ちなみに1日1店舗あたりの損益分岐点は40杯。(*2) 95杯ということはその2.5倍近いわけで、店側にとってセブンカフェは商品単体で見ても高収益になっています。

またネスレ日本によると、日本の年間コーヒー消費量は480億杯。セブンカフェは登場わずか1年で、日本のコーヒー消費量の1%弱を占めたことになります。

 

■数字で見るセブンカフェ

セブンカフェのこんな数字もあります。

・リピート購入率 55% ...セブンの食品中、ダントツです。ちなみに弁当のリピート率は40% (*1) 顧客の固定化に貢献しています

・男女比 5:5 ...セブン利用客の男女比は6.5:3.5。缶コーヒーは7:3。女性利用率は高めです (*1)

・売れる時間帯 0-10時 42%/10-16時 37%/16-24時 21% ...つまり朝の一杯が人気ということですね (*1)

・併せ買い率 2割 ...セブンカフェと一緒にサンドイッチ、菓子パン、スイーツを買っており、朝食と一緒に購入する人も多いようです。(*2) 店の売上も増幅されます

・缶コーヒー販売は横ばい ...当初はセブンカフェの影響で落ちると思われていました。(*3) 新たな客層を取り込んでいることを示しています。

・売上見込み 500億円超 (*4) ...日本マクドナルドのドリンク年間売上は1400億円なので、セブンカフェだけでマクドナルド総ドリンクの1/3。スターバックスのビバレッジ年間売上は869億円なので、スタバ総ドリンクの半分以上になります。(*5) 外食業界に与えるインパクトはかなり大きなものがあります。

  

■コーヒー調達手段の拡大

販売目標を引き上げたことで、原料となるコーヒー豆の調達手段も、セブンは拡充しています。(*6)

これまでコーヒー豆は三井物産から仕入れてましたが、丸紅を追加。

さらに調達したコーヒー豆の焙煎を委託しているAGFは数億円を投じて工場のラインを増強し6月から供給量を倍増。さらにUCCにも焙煎を委託。東日本はAGF、西日本はUCCから豆を供給する体制にしています。

セブンカフェが、コーヒー業界全体にかなり大きなインパクトを与えていることがわかります。

 

■コンビニ各社の取り組みは?

発売がコンビニ最後発となったセブンカフェに牽引されて、コンビニ各社全体のコーヒー売上は、7億杯になると言われています。ではコンビニ各社はどのように取り組んでいるのでしょうか?
 
関西国際大学教授 王利彰さんは次のように書いておられます。

---(以下、(*5)から引用)---

 スターバックスは、本場(イタリアのバール)の良い雰囲気を導入し、チェーン展開のために、『サードプレイス』という顧客がくつろげる場所を提供し、コーヒーだけに専念させた。これが急成長の背景だ。

 コンビニのFFコーヒーは、戦略が二つに分かれている。

 スタッフがサーブする時間と手間を省いたセルフサービス方式と、スタッフが提供する方式だ。セルフサービス方式は店の負担が小さいが、スターバックスの成功要因は取り込めない。スタッフが提供する方式は、トレーニングが必要だが、顧客との絆を作り上げる可能性がある。

 豊富な品揃えとグルメコーヒー、そして店舗数の多さに伴う利便性。顧客との絆を築けば、コンビニのFFコーヒーは最強になるはずだ。

---(以上、引用)---

将来の動向を見定める上で、とても有益な視点だと思います。

この視点からコンビニ各社の取り組みを分類すると、次のようになります。(比較のために、マクドナルドも入れています。価格は最安値のホットコーヒー) (*5)

・セルフサービス型

セブン ..100円
ファミリーマート ...150円
サークルKサンクス ...100円
ミニストップ ...150円


・スタッフ提供型

ローソン ...180円
マクドナルド ...100円

 

一方で、最近私が気になるのは、コンビニ店内で様々なにおいが混ざっていることです。

コンビニでは実に様々なものを売っています。おでんの暖かいにおい、コーヒーの香り、揚げ物の油っぽいにおい、と単品では香しいものが、混ざってしまうと魅力がかなり落ちてしまいます。

「スターバックス再生物語」で、2008年にCEOに復帰したハワード・シュルツが、売上を伸ばしていたブレックファスト・サンドイッチの販売を、CEO判断で中止させる場面が描かれています。

暖めることでチーズが溶けて強い香りが店内に流れ、店内の香しいコーヒーの香りを消し去ってしまい、「第3の場所」の魅力を半減させ、顧客離れを招いていたのです。

そしてスターバックスは「第3の場所としてのスターバックスは何か」を徹底的に考え、再生していきます。

コーヒーを核にコンビニが「顧客との絆」を築くには、「第3の場所としてのコンビニとはどうあるべきか」を考えていくことが必要になってくるのではないでしょうか?

あるいは、あくまで「コンビニらしさ」の利便性を追求する道もあります。

恐らくその答えは、セブンが日々行っているように、顧客動向を元に、どのように仮説を立てて検証していくか、にかかっているのではないかと思います。

 

セブンカフェについては、学べることが実に多いので、日を改めてまたご紹介したいと思います。

  

出典
*1 ..「アエラムック企業研究 セブンイレブン 勝ち続ける7つの理由 強さの法則」(朝日新聞出版) p.10-11
*2 ..「独り勝ちの秘密を徹底解剖 セブンの磁力」(週刊東洋経済 2013/7/13号) p.39-40
*3 ..「アエラムック企業研究 セブンイレブン 勝ち続ける7つの理由 強さの法則」(朝日新聞出版) p.14
*4 ..「セブン&アイ営業最高益 3~11月、コーヒー効果」(日本経済新聞 2013/12/19)
*5 ..「セブン vs マック」(月刊コンビニ 2013/8号)
*6 ...「100円コーヒー、販売4割増 セブンイレブンが計画上方修正」(日本経済新聞 2013/5/24)

 

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