川島良彰著「私はコーヒーで世界を変えることにした」…今日からの仕事に、元気がもらえます
川島良彰著「私はコーヒーで世界を変えることにした」を読了しました。
川島さんは「コーヒー界のインディージョーンズ」と言われるコーヒーハンター。
1956年、静岡県にあるコーヒー焙煎卸業の店に生まれ、コーヒーの香りとともに育ち、子どもの頃から「中南米でコーヒーの仕事をしたい」という強い想いを持って高校卒業後、エルサルバドルに留学しコーヒーを学び、様々なことを経験されます。
エルサルバドルの内戦中も残ってコーヒーの研究を続けていましたが、内戦が激化してやむを得ず一時期米国・ロサンゼルスに滞在中、UCC上島珈琲の創業者・上島忠雄氏に直々にスカウトされUCC上島珈琲に入社。当時25歳。
上島忠雄氏の「海外にコーヒー農園を持つ」という生涯の夢を託され、ジャマイカでゼロから農園を立ち上げます。
その後も、ハワイ、インドネシア等でコーヒー農園を次々と開発。
さらに「絶滅した」と言われるコーヒー種をマダガスカル島で発見、「コーヒーハンター」と呼ばれるようになります。
51歳でUCC上島珈琲を退職。
今は会社を創業し、コーヒーで世界を変えるために、様々な活動をなさっています。
私たちが何気なく毎日飲んでいるコーヒーは、実は南北問題を象徴する商品です。
世界トップ10の生産国は発展途上国ですが、一方で世界トップ10の消費国のうちブラジル・エチオピア以外は全て自国で生産できない先進工業国です。そしてトップ10消費国のうち、アジアでは唯一日本が入っています。
このようなコーヒーの世界で、本書にも書いているように、川島さんは、気候・人種・宗教・文化・言葉がまったく異なる様々な国でのコーヒー農園開発を通じて生産国の現状を知り、コーヒー栽培の知識があり、コーヒー屋で生まれてコーヒーを感覚的に理解し、さらに消費国の事情にも精通している、世界でおそらく唯一のコーヒー屋です。
このような仕事をなさってきた川島さんの生き方に感銘を受けると同時に、川島さんを社員として26年間守り、育ててきたUCC上島珈琲の度量の深さも、凄いと思いました。
「現代の日本にも、こんなスケールが大きい日本人がいたんだ!」というのが率直な感想でした。
コーヒー好きでない方も、本書を読むと、とても元気が出てくると同時に、仕事とは何かを深く考えるきっかけを得られると思います。
そしてもしかすると、読み終わるとコーヒーのことが好きになっているかもしれません。(笑)