顧客ニーズに一生懸命対応しているのに、価格競争に陥って疲弊するのには、理由があった!! 朝カフェ次世代研究会、柳下さんご講演『Think Different』 #asacafestudy
昨日の朝、柳下さんご講演による第13回目朝カフェ次世代研究会『Think Different』を行いました。
テーマは「差別化の罠をいかに乗り越えるか?」
差別化しようとして、結局、競合他社と似てくる例が色々紹介されました。
ファーストフード、携帯電話、....。
私がこれで連想したのが、民主党と自民党の政策。
有権者の意見に忠実であろうとするあまり、政策の違いを見つけるのはだんだん難しくなっています。
「競い合うものは、似てくる」というのは、モノゴトが成熟してくるにつれて、世の中で一般的に起こることなのですよね。
ちょうど顧客の言うことにそのまま従った結果、コモディティ化するのと同じです。
そして、差が目立たなくなり、価格競争に陥ります。
柳下さんは、成功する差別化のためには、「市場を再定義する」「強みを徹底的に伸ばす」「弱みは補強するのではなく、(他のモノを使って)補完する」と述べておられました。
正しい差別化とは、「あなたから買う理由を提供すること」
つまり、「顧客が必要としていること。価値があると理解していること。他の製品では提供できないこと」
これって、当ブログでもよくご紹介しているバリュープロポジションの考え方そのものだなぁ、と深く納得した次第です。
ここから先は私が柳下さんのご講演をお聴きして思ったことです。
柳下さんは、今年、日本の各携帯キャリアが20種以上の新機種を出している一方で、コストが過大にかかり、利益を薄めている例を挙げておられていました。
これは、愚直で真面目である日本企業のよさが、デメリットになっている部分だと思います。
恐らくその理由は、市場の一つ一つの要望に、とても真面目に対応しているためなのでしょう。
一方で柳下さんがおっしゃる「市場の再定義」とは、新たなニーズを創り出すことでもあります。
たとえば、Appleは「電話を再定義する」と宣言してiPhoneを出しました。
従来のスマートフォン市場を再定義することで、顧客がそれまで気がつかず、意識もしていなかった新たなニーズを作り出しているのです。
そして、そのニーズにピッタリと合った、自社しかできない決定的な差を際立たせている訳ですね。
つまり、顧客は一目見るだけで、「あ、こんなのが欲しかったんだ!」と感じ、どうしても欲しくなる、ということです。
ちょうど、政党で言えば、有権者の最大公約数を取って政策を決めるのではなく、主体的にあるべき姿を考えて、「わが党はこのように日本を変えたい」と訴えることと同じですね。
標準化やエコシステムも、この流れであると思います。
まず、新たに創り出した顧客ニーズをいかに満たすかを考える。
そのために、技術の進化や成熟度を把握し、差別化したい部分には独自技術を実装し、ベースを拡大したい部分はインターフェイスをオープンにし、それぞれ組合わせて構築する。
そして自社で全てを行おうとせずに、サードパーティが参加しやすいエコシステムを創り出して参加を促すことで、自社がやっていない弱みを補完する。
これがグローバルスケールで進行しているのが現代であり、さらにその上で徹底的に顧客ニーズに対応した顧客中心主義を実現した企業が勝利をおさめている、ということなのではないかと思います。
一方で、このような新商品を出した後、市場ニーズに対応していくことは必要なことです。
しかし、それによりコモディティ化がさらに進むと価格勝負になり、徐々に収益が低下します。
そこで市場に対応し続けるだけでなく、収益が低下し始める前に並行して新たなニーズを創り出す新商品を世に送り出すことが必要です。
イノベーションが企業にとって重要な理由でもあります。
まさにAppleが、iMac→iPod→iPhone→iPadで行っていることですね。
各製品群の売上を系年度で積み上げると、見事に数年毎に新製品が売上拡大に貢献し、Appleの継続的な成長を支えています。
Appleの場合はB2C企業ですが、「顧客のニーズを先取りしていく」という観点では、B2B企業であっても同じと思いました。
Twitterのログをご覧いただくと、議論の様子がよく分ると思います。
柳下さん、
ありがとうございました!
次回第14回目になる『朝カフェ次世代研究会』は、オルタナブロガー高木さんによる「名刺に何を載せればいいのかわからないとお嘆きの貴兄に」です。
名刺によるセルフブランディングで本も出されている高木さんです。
「違いを出したい」ビジネスパーソンにとって、きっと参考になると思います。
11月24日開催です。
これも楽しみですね。