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問題は、「ねじれ国会」ではない

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いわゆる「ねじれ国会」で、国会が機能していない状態がしばらく続いています。

この金融危機の最中に、国家の中央銀行の総裁が空席になるという異常事態になりかねない状態です。

与党は、参議院で過半数を握っている野党に対して「何にでも反対するので話が進まない」と言っています。

実際、本日のニュースでも、福田首相が困惑した表情で、「何で野党が反対しているのか、分からないんですよ」とインタビューで応えています。

一方の野党は、「審議を十分に尽くさないで、何も決められないと野党のせいにするのは、いかがなものか」と言っています。

これは結局、お互いに全く議論が出来ていないことに他ならない訳で、与党・野党ともあまりお互いのことは言えないような気がします。

 

本来、民主主義とは多数決ではありません。

民主主義とは、議論を尽くすことで、解決策を生み出すものです。

しかし日本の国会議員の議論を見ていると、相手の言い分を全く聞かずにひたすら自分の言いたいことを大声で言い続けたり、または感情論で「ダメなものはダメ」と言い切ってしまうパターンがあまりにも多いように思います。

これでは、議論になりません。

「なぜ、日本人の議論と米国人の議論が噛み合わないのか?」でも書きましたように、民主主義の考え方は、弁証法的思考がベースになっています。

これは議論を通じてお互いが抱える問題の本質を探り出し、よりよい結果を得ようとする考え方です。

様々な異なる意見を出し合い、「正・反・合」、つまり正反対の意見を議論を尽くすことで新しい価値を生み出すというプロセスです。

「ねじれ国会」が問題のように言われていますが、民主主義の原則に基づいた選挙を通じて衆議院と参議院の過半数を握ったのが、それぞれ与党と野党になっているのですから、この「ねじれ国会」の存在自体は問題ではないと私は思います。

むしろ野党と与党が互いに緊張関係があり、審議を十分に尽くさずに与党が強行多数決採決に持ち込めない、という意味では、よい面もあると思います。

しかし、機能不全に陥って何も決められない状態が続いているのは、本来の民主主義的な議論が与党・野党間で全く出来ていないことに大きな原因があると思います。

幸い、日本は国民主権の国です。

我々国民は、現在の国会での議論を見て、どの国会議員が民主主義的な議論を行っているのかを見極めて、次回の選挙に臨みたいものです。

そして願わくば未来の日本の国会では、民主的な健全な議論を与党と野党で活発に交わし、様々な課題に対してお互いに知恵を持ち寄ることで、一党独裁では生み出せない新しい解決策を生み出せるようになっていただきたいですね。

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