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柏崎原発の教訓

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今回の柏崎原発の被害に対して、やや感情論で報道するマスコミが目立ちました。

一方で、大前 研一氏が「柏崎原発、褒めるべき点・反省すべき点」という、元原子力研究者の面目躍如たるコラムを書かれています。

考えてみると今回の地震は、原子力発電所を直撃し、かつ、原子炉が自動で緊急停止した、恐らく最初の事例なのですね。(もしかしたら、私が知らないだけで、他に事例があるかもしれませんが)

その意味で、第6段階まで進んだチェルノブイリ原発や、第5段階まで進んだスリーマイル島原発の事故とは全く性質が違うものです。

しかしながら、マスコミの報道の中で、大前氏と同じ視点で書かれた記事は、私が読んだ限りでは7月25日の日刊工業新聞「されど原発 変わらぬ重要性」だけでした。この記事では、各紙が事故隠しを糾弾している中で、予測を上回る地震でも自動停止した点を指摘する一方で、原発に頼らざるを得ない日本の現状を踏まえた考察を冷静に行っています。

(尚、当コラムへのコメントによると、7/26付の読売新聞の社説でも同様の論点があったようです)

原発の是非については根深い問題でもあり、またいわゆる「トラブル隠し」と言われている内容についても色々と複雑な問題が絡むので、当ブログではその点は論じません。

一方で、今回の一連の報道で痛感したのは、風評の怖さです。

大前氏の記事によると、海外のメディアの中には「チェルノブイリや米国のスリーマイル島の事故並みの損害」と伝えているものもあるそうです。

実際、イタリアのセリエAのチームは放射能漏れの恐れのある国に行きたくない、と来日予定をキャンセルし、ロシアのテレビ局では日本海の対岸ウラジオストックあたりが放射線で汚染されないか、ガイガーカウンターによるモニターを開始した、と伝えているとか。

本来、企業広報は極めて重要であり、何かアクシデントが起こった場合は、問題点を分析し、評価されるべき点と、改善を要する点を明確に分け、後者についてはその対応策を定め、メッセージを分かりやすくかつタイムリーに外部に伝えることが必要です。

一方で大前氏はこのような風評が広がった理由を、「大臣が社長を呼びつけて怒ったことで、よほど(隠匿などの)悪いことをしたのではないかという印象を与えた」ため、と分析しています。

政府からこのような対応がされる時点で、一企業の広報活動の努力でどうこうなるレベルを超えています。ご担当者のご苦労を思うと、頭が下がる思いがします。

 

さて、当コラムの最後で、大前氏は以下のように言っています。

---(以下、引用)---

 事故は起こってしまった。賢者はそれから次の事故を防ぐ方法を考える。愚者は怒ったり、泣いたり、感情的になって、現実を見ようとも、教訓を学ぼうともしない。次の被害がどのくらい差し迫っているかいたずらに騒ぎ立てる。

---(以下、引用)---

私達は「賢者」でありたいですね。

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