簡単な出口調査で、実に色々な分析が出来る理由
本日、参議院選挙に出かけましたが、初めての経験を致しました。
いわゆる出口調査。
よく選挙番組で「出口調査の結果では....」と紹介しているアレです。
選挙投票所になっている中学校にある体育館の出口で、女性が一人立っていて、「出口調査にご協力ください」と紙を渡してくれました。
出口調査は一種の市場リサーチでもあり、どんな仕組みなのか知りたいという気持ちもあって、調査に協力させていただきました。
調査は、質問に○×で記入するだけという、15秒程度で終わる非常に簡単なものです。
年齢、代表区で投票した政党名、選挙区で投票した候補者名、年金問題が投票判断に影響したか、いつも支持している政党名、等をチェックするようになっています。
また、性別で渡す紙の色が違いますので、男女の特性も把握できているようです。さらに、地域毎に調査を行っているので、地域情報も付加されています。
選挙速報番組では、この調査を元に当選予測を行っています。統計学的に考えても、サンプル数がある程度の量であれば、かなり正確な予測が出来るのでしょうね。
一方で、このような簡単な調査ですが、番組を見ていると、この生データを基に、様々な視点で解析しています。
例えば、ある選挙区において、浮動票がどの政党や候補者に流れたか、という分析をしています。この分析は、「支持政党:特になし」としたグループの投票先を比率で見ると簡単に分かります。
また、今回の年金問題がどの政党に有利に働いたか、またその地域差がどうなのか、等も分かります。
サンプル数が3-4万件程度であれば、この程度の分析はExcelでPivotテーブルを使うと誰でも簡単にできます。
選挙番組では速報性が求められますので、このような分析を選挙直後にタイムリーに番組で流すためには、恐らく、予めどのような分析結果が必要なのかを定義し、そのための必要なデータを決めてアンケート内容を設計しているのではないでしょうか?
さらに、出口調査で得た紙情報をデータ入力しセンターに送信する手順と、それを分析するプロセスとスケジュールも、秒単位で定義していることと思います。
例えば、もしかしたら、出口調査をしていたあの女性がある時刻に調査を引き上げて喫茶店かどこかで数百枚程度の調査結果を急いでパソコンで入力し、メールで送信しているのかもしれません。
番組の中で、次々とグラフで出てくるデータを見ながら、裏方でかけているであろう膨大な作業と、全国でその作業に携わっている人達のことに思いを巡らせました。
一方で、このような生データは、今後の選挙を戦う上で、政党にとって非常に貴重なデータであると思います。
マスコミと政治は緊張関係にあるべきと思いますが、このようなデータの取り扱いも興味があるところですね。