顧客満足度を高めれば、必ず売上があがるのか?
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CRM関係者の間では有名な「ジョン・グッドマンの法則」という法則があります。
顧客窓口部門での対応が、いかに再購入率に結び付くかを研究したものです。具体的には、
- 商品・サービスの不満情報は、満足情報の2倍の量で伝達されていく
- 苦情を言った客がその後満足すると、80%以上が再購入する。これは、苦情を言わなかった客の再購入率60%よりも高い
- 一方で、苦情を言った客が企業の対応に不満を抱くと、再購入率はゼロになる。
ことほどさように、コンタクト・センターでの対応品質は、企業の収益に直接影響します。これは、多くの業界で普遍的なものです。
一方で、顧客満足度を高めればそれだけでよいか、というと、必ずしもそうではないケースもあります。
例えば、数年前に顧客満足度が業界で最高だった米国のあるメーカーは、業績不振に陥りました。コンタクトセンターでのサポート品質は極めてよかったのですが、逆に過剰なサポートコストが利益を圧迫し、かつ、顧客満足を売上・利益に結び付ける仕組みができていなかったためです。
巷では、「顧客満足度を高めれば売り上げも必ず上がる」「これは疑いようもない真理である」というメッセージを、割と見かけます。
確かに顧客満足は極めて大切であることは全く同感です。
しかし、顧客満足だけを徹底的に高めれば、他のことは忘れても売上は上がる、というような単純なものではないと思います。
全体での最適化を考えて、顧客満足をいかにビジネスに結び付ける仕組み(=ビジネスモデルやビジネスデザイン)を作るかが大切なのではないでしょうか?
メッセージのエッセンスを抽出して単純化することは、マーケティング上重要です。しかし、このような行き過ぎたメッセージにより、本来は素晴らしいものであるCRMの概念の大切な「何か」が欠落してしまうことを危惧します。
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