あぁ勘違いのKPI
「KPI、大事ですね。ウチでも設定しましょう。じゃぁ今期の売上目標が●●億円だから、アナタの今期のKPIは●億円ね」
....っていうのは、大きな勘違いです。
KPIはKey Performance Indicatorの略で、モノゴトがうまく行っているかどうかを確認するための指標のことです。望ましいパフォーマンス(Performance)を生み出すための主要(Key)な指標(Indicator)です。
人事評価や組織の運営でも、KPIはよく設定されます。
重要な点は、KPIはモノゴトがうまく進んでいるかどうかを判断するための中間指標であって、結果ではないのです。
従って、結果である売上や利益は、KPIとは呼びません。
ある売上や利益目標を達成するために必要な要因を洗い出し、その要因ごとに設定した指標がKPIになります。
例えば、下記のようなものがKPIになり得ます。
- マーケティング・キャンペーンの場合、その集客数、顧客満足度、そこから生まれた案件の数
- 商品販売のために必要なセールス担当者のスキル向上の目標値
- ビジネス・パートナーの数とそのスキル・レベル
ちょっと分かりにくいかもしれませんね。
例えば、長い水道管に貯水槽から水を流すとして、出口の取水口で必要な水量を得るために何をすればよいかを考えて見ると、理解し易いかもしれません。
取水口での水量(=結果)だけをチェックしていても、目標とする水量がなぜ得られないのかは、分かりませんよね。
実は、売上や利益をKPIに設定するのは、これと全く同じことをやっているのです。
本来やらなければならないことは、最初に必要な水量を得られるために確認が必要な要因を洗い出すことです。
例えば、貯水槽から水道管に水を送り出す際の圧力や水量、各水道管を繋ぐ繋ぎ目がしっかり締まっているかどうかとか、水道管に穴が空いていないか、等が、要因として出てきたとします。
この場合、貯水槽から水道管への圧力・水量、繋ぎ目の閉め具合、水道管の表面の検査、等が、取水口で必要な水量を得るために必要な確認事項です。
これを指標化し、定常的に確認できるようにしたのがKPIである、と考えれば分かり易いかも知れません。
KPIを設定する方法論として、例えばバランス・スコア・カードのような手法があります。しかしビジネスの世界で、この結果との因果関係を持つ要因を洗い出すのは、水道管のような単純な物理系とは異なり、なかなか難しいのです。
だからこそ、ともすると人は結果そのものをKPIとする誘惑にかられ勝ちなのでしょうね。