『歴史の必然の展開は君の理解を待ってはおらん!!』
ちょっとドキッとする言葉ですが、これは本日(2006/7/12)の日本経済新聞『私の履歴書』で、小松左京さんが書かれた言葉です。
戦後まもなく京大生になり、反戦・平和の主張に共感して共産党に入党したものの、活動が先鋭化していくので、小松さんが幹部に「少し待ってくれ。もっと共産主義を勉強したい」と言ったところ、幹部から返ってきた名言です。
60年近く前の言葉ですが、すごい言葉ですね。
まさに現代だからこそ、我々に大きな問いを投げかけてきます。戦後の混乱期と現代は、共通するところがあるかもしれません。
現代のこの言葉に対する反応は、人それぞれではないでしょうか?
Aさん「そうだ。世界の変化は必然だ。そもそも土台がどんどん変わっているのだ。理解にじっくり時間をかける余裕はない。自分で変化を起こすべきだ。走りながら考えるのだ」
Bさん「このような世の中こそ、しっかりとした理解が重要だ。何も分からない状態で物事を進めるのは、地図なしで行軍するようなものだ。まずはしっかり理解することが、第一歩なのだ」
Cさん「いやいや、じっくり理解している間に物事はどんどん変わっているのだ。そもそも理解の対象は過去の事象に基づいたものだ。理解は必要最小限に留め、そこから得られた洞察を元に行動を起こすべきだ」
Dさん「世の中が大きく変化していると言っても、本質的なモノは何も変わっていない。現在の理解を否定する必要は全くないのだ。現在のやり方をゼロ・リセットする前に、いまの延長線上でやるべきことがいくらでもある筈だ」
恐らく、どれが絶対的に正しい、ということはないのでしょう。
むしろ、自分の置かれた状況に合わせて自分の軸をしっかり定め、その軸をブラさずにこの波を乗り越えることが求められているのではないでしょうか?