えびの市の安全宣言と「疫学関連農場」(備忘録)
※本エントリーについては、本日中に動物疫学関連の原典にあたり、実際に獣医師の方からお話を伺って正式な定義などを確認しつつ、それをもとにこれまでの経緯を確認する予定でしたが、別件でそれがかないませんでした。そこで、疑問とその仮の答えを備忘録の形で掲載し、詳細はコメント欄や別エントリーに譲ることとします。
6月3日、9例目の口蹄疫発症地域だったえびの市では、清浄性確認検査が終了しました。宮崎県行政発表では、家畜の移動などを禁じる最大半径20キロの移動・搬出制限区域を4日午前0時に解除。久しぶりの大変明るいニュースです。以下、後ほど確認したいと考える点について、推測も含めていくつか記します。
- なぜえびの市で発症したか?
えびの市の位置関係を確認するために、農林水産省の公式資料「発生場所」を利用します。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/hassei0602.pdf
これを見ると、川南を爆心地とする宮崎県中央部とは別の、いわば「飛び地」のような格好になっています。
「なぜえびの市だけ発生したのか?」という問いに答えるためには、「疫学関連農場」という用語を確認する必要がありそう。えびの市の発症事例は、「疫学関連農場」での事例であるとされています(wikipediaのみ、要確認)。
オンライン上の情報を参照すると、農水省の公式情報のなかには、「例えば、獣医師や飼料等が共通している農場」との表現があります。
えびの市の発症は9例目。4月28日に判明しており、おそらくはそれ以前に発症した農場の「疫学関連農場」であるとして監視、検査が行われ、発症確認後に比較的迅速な対応が行われたものと推測されます(詳細は要確認)。
- えびの市が、いち早く安全宣言できた理由は?
発症確認後、被害が広がる前に迅速な対応が行われたことが最大の要因だと思われ、また、えびの市単独で「打てる手はすべて打つ」という姿勢も功を奏したようです。
例えば、希釈した酢酸(要するにお酢)の散布も話題になりました。
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=23973
(この点については、「効果は疑問」という指摘<例えば、「口蹄疫3 やっと政府対策チーム発足へ」松永和紀ブログ>も出ている一方、口蹄疫ウィルスが酸性あるはアルカリ性に弱いという点は広く指摘されているようです(上記新聞記事などをもとに要確認)。他市町村でも広く利用されているとの報道があります。)
えびの市の事例は、「口蹄疫が発生したら、まずは(ストレートな表現ですが)とにかく家畜を殺して、埋めることで拡大を防ぐ」、そして「域内を消毒するなどの努力で、拡散を防ぐ確率を高める」という当たり前の事実を裏付けているようです。
(参照)
※農林水産省「口蹄疫に関する情報:発生状況等:発生場所(PDF)」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/hassei0602.pdf
※2010年日本における口蹄疫の流行 wikipedia: http://bit.ly/as8PYL
※農林水産省「口蹄疫に関する情報:防疫措置及び支援のための措置:宮崎県の口蹄疫に対する防疫措置について」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/syh_soti.html
※松永和紀ブログ: http://blog.goo.ne.jp/wakilab
※「口蹄疫まん延防止へ酢を空中散布 えびの市」(南日本新聞2010 05/16 19:00)ほか
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=23973